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爪水虫の治し方は飲み薬と塗り薬のどっち?新薬ネイリンを含めて解説

水虫薬(白癬治療薬)
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こんにちは、薬剤師の安美です。

この記事では、
爪水虫で皮膚科を受診した時に使われる飲み薬と塗り薬について、
副反応や飲み合わせなども含めて、薬剤師である私が徹底解説します。

 

薬剤師:安美
薬剤師:安美

クレナフィンなどの塗り薬と新薬ネイリンやラミシールといった飲み薬、
どちらにもメリット、デメリットがあります。
爪水虫に使う薬は、患者さんの希望や状況にあわせて、医師と相談して決めるケースもよくあります。
この記事がお役にたつとうれしいです^^

 

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爪の水虫(爪白癬)の症状とは?

爪水虫は、白癬菌(はくせんきん)という真菌(カビ)が爪に感染することで起きます。

爪の周りや爪と皮膚の間から白癬菌が入り込んで爪に感染すると考えられています。

爪水虫の9割が足の指の爪がなりますが、手指の爪水虫になることもあります。

 

 

爪水虫になると、まず初期症状として爪が白く濁ります。

その後、進行していくと、
爪の色が黄色や黒色に変色したり、爪が厚くなってもりあがってきます。

厚くなった爪はもろいので、ボロボロと剝がれ落ちやすくなります。

薬剤師:安美
薬剤師:安美

爪水虫自体は、かゆくなったり、じゅくじゅくしたりしませんが、
剥がれ落ちた爪水虫の爪から他の人にうつすリスクがあります。

 

爪水虫が悪化すると、爪がもろくなるため、
靴を履くと痛くなったり、しっかり足の指を地面につけて歩けなくなったりします。

つまり、歩きにくくなったり、転倒しやすくなる恐れがあります。

爪水虫は放置していても治りません。

そして、足の指や指の間など他にできていた水虫から爪水虫になることもよくあります。

爪水虫に早く気づいて治療を始めること、
そして、爪水虫になる前に他にできた水虫を治療することが悪化を防ぐために大切です!

 

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爪水虫の処方薬、ラミシール、イトリゾール、新薬ネイリン3つを比較

日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン 2019によると、
爪白癬に対しては抗真菌薬の内服(飲み薬、ラミシール、イトリゾール、ネイリン)が、「推奨度A」で強く薦めるとなっています。

 

薬剤師:安美
薬剤師:安美

飲み薬は、今できた爪水虫による爪の症状をの治すというよりは、
これから新しく生えてくる爪をきれいな健康なものにするはたらきがあります。
なので、爪水虫の白くに濁った部分と新しく生えてきたきれいな爪の境目ができて、飲み薬の効果を実感しやすいです!

 

 

爪水虫に対して病院で処方される内服薬は以下の3つです。

 

1:ラミシール(テルビナフィン)

ラミシールクリームやラミシール液といった外用薬、市販薬にもありますね。

あのラミシールの飲み薬です。

一番、古い=昔から使われている薬です。

1日1回食後に1錠の服用。
これを毎日続けて、半年(6カ月間)以上の服用が必要です。

 

ラミシールは肝臓で代謝されるので、肝障害のリスクがあります。
とくに、肝機能障害は内服開始後2ヶ月以内に発症することが多いと言われているため、のみはじめの2ヶ月間は月に1回の血液検査を行うことが推奨されています。

薬剤師:安美
薬剤師:安美

ラミシールは、ピル(経口避妊薬)やトリプタノールなどの抗うつ薬との飲み合わせが悪いです。
併用に注意が必要です。

 

2:イトリゾール錠(イトラコナゾール)

イトリゾールは、ちょっと変わったのみ方(パルス療法)をする薬です。

まず、イトリゾールを1日2回、1回2カプセルを食直後に1週間続けてのみます。
のみ終えた後、3週間はイトリゾールはのまずに休薬します。
この合計1ヶ月を1サイクルとして、3サイクル(3か月)繰り返します。

イトリゾールには注意点が2つあります。

・イトリゾール錠の注意点1:食後にのむこと

イトリゾール錠は食直後にのむようにしてください。

空腹時だと、イトリゾール錠の吸収が半分くらいに落ちるというデータがあります。

 

・イトリゾールの注意点2:睡眠薬や血圧の薬など併用できない薬が多い

イトリゾールは、肝臓にある薬物を代謝する酵素(CYP3A4)のはたらきを阻害するため、飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。

薬剤師:安美
薬剤師:安美

CYP3A4で代謝される薬って、すごく多いんです!

私の勤務先の薬局でよく処方される薬で、イトリゾールと併用できない(飲み合わせが悪い)ものをまとめました。

【イトリゾールと飲み合わせが悪い薬】

・ハルシオン(トリアゾラム):睡眠薬、鎮静睡眠作用が強くなる
・リポバス(シンバスタチン):高脂血症治療薬、横紋筋融解症発現
・カルブロック、レザルタス(アゼルニジピン):高血圧治療薬、低血圧
・イグザレルト(リバーロキサバン)*:血栓治療薬、出血の危険性大
・プラザキサ(ダビガトランエテキシラート)*:血栓治療薬、出血の危険性大

*イグザレルトは代謝だけでなく吸収(P糖タンパク質)の相互作用も懸念され、出血リスクが上がる可能性があります。
プラザキサは、吸収の相互作用で飲み合わせに問題ありです。

 

薬剤師:安美
薬剤師:安美

他に薬をのんでいる場合にイトリゾールを処方されたら、必ず併用薬を医師か薬剤師に確認してもらいましょう!

 

3:ネイリンカプセル(ホスラブコナゾール)

水虫治療の飲み薬としては、ラミシール(ラノコナゾール)やイトリゾール(イトラコナゾール)の2つがメインで使われていました。
そこに、久々の新薬として、2018年にネイリンカプセル(ホスラブコナゾール)が発売されました。

ラミシールやイトリゾールは爪水虫以外にも使われることがありますが、ネイリンは、爪水虫専用の治療薬です。

ネイリンカプセルは、1日1回1カプセルの服用を12週間続けます。

吸収に食事の影響はうけないので、自分でのみやすいタイミングでのむことができます。

ラミシールと同様に、副作用として肝機能障害が報告されているので、4週間に1回を目安に血液検査が必要です。(検査値で異常が出たら服用をやめるという対処)

 

薬剤師:安美
薬剤師:安美

イトリゾールよりは少ないですが、飲み合わせに注意しないといけない薬もあります。

血栓治療薬のワーファリンや高コレステロールの治療薬のシンバスタチンが飲み合わせが悪いので、服用中の方は医師もしくは薬剤師に相談してくださいね。

 

 

なお、ネイリンには催奇形性があるので、妊婦さんは使えません。

もし、治療に使った場合、服用終了後も3ヶ月の避妊が必要です。

 

爪水虫の飲み薬、ラミシール、イトリゾール、ネイリンの比較一覧表

爪水虫の飲み薬として病院で処方される3つの薬、ラミシール、イトリゾール、ネイリンの違いについて、一覧表にまとめました。

薬剤名
(一般名)
服用方法 服用期間 ジェネリック
ラミシール
(テルビナフィン)
1日1回
食後1錠
半年(6カ月以上) あり
イトリゾール
(イトラコナゾール)
1日2回
食直後1錠
1週間服用後、3週間休み
これを3回(サイクル)
あり
ネイリン
(ホスラブコナゾール)
1日1回
1カプセル
12週間(3ヶ月) なし→値段が高め

まだネイリンが出る前に、皮膚科の門前薬局で働いていた時は、
爪水虫に対しては、基本的にはイトリゾールでした。

他に服用中の薬が多い方、毎日のんでいた方が飲み忘れがないという方に、ラミシールが処方されていた印象です。

ネイリンは新薬でまだジェネリックがないので、薬の値段が高いというデメリットはありますが、のみ合わせの悪い薬も少なく、治療効果も高いので個人的にはおすすめです。

 

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爪水虫に処方される塗り薬、クレナフィン、ルコナック外用液2つを比較

日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン 2019によると、
爪白癬に対しては2種類の抗真菌薬の爪外用液(塗り薬)が、「推奨度B」となっています。

推奨度Bというのは、ガイドラインの言葉を引用すると、

肝機能障害等で内服が困難、あるいは内服薬を希望しない中等症以下の爪白癬患者にエフィナコナゾール爪外用液 10%(もしくはルリコナゾール爪外用液 5%)を用いた外用療法を行うよう勧める。

というわけです。

 

薬剤師:安美
薬剤師:安美

外用液と比べると、飲み薬の方がデータとして爪水虫の治癒率が高いです。
勤務先の薬局では、飲み合わせが悪い薬を複数すでに服薬している、肝機能の低下がみられる、内服は嫌という患者さんに使われている印象です。

爪水虫に対して病院で処方される爪外用液は以下の2つです。

 

爪水虫治療薬、ルコナック(ルリコナゾール)爪外用液5%

ルコナック爪外用液の成分、ルリコナゾールはルリコンクリームやルリコン軟膏と同じです。

ただ、爪外用液は濃度が5倍の5%と高濃度です。

ルリコナゾールを高濃度に含み、爪に対する透過性や貯留性も高めて、爪白癬治療剤として使われています。

1日1回、爪に塗るという使い方です。

ルコナック爪外用液は、先端が昔の修正ペンのようになっています。
爪に押し当てると薬液が出るのですが、適量を出す力加減があるので注意してください。

 

クレナフィン(エフィナコナゾール)爪外用液 10%

クレナフィンは、他の水虫薬の成分と比べて、爪の成分のケラチンとくっつかず、爪での透過性がよいので、爪の中や爪の下の皮膚まで成分が行き届いて効果がでると考えられています。

1日1回、爪に塗るという使い方です。

クレナフィンは、刷毛で塗れるようになっています。
使いやすいという患者さんが多いですね。

注意点としては、クレナフィンの開封後の使用期限が添付文書内に明記されている点です。

開封後12週間経過した場合は、残液を使用しないこと。

おそらく、1日1回毎日使えば、12週間(約3か月)を超えることはないので問題ないはず…。

 

クレナフィンもルコナックも爪外用液は、半年から1年くらい根気よく続けて使うことが、爪水虫の治療につながります。

さいごに:爪水虫の治し方は飲み薬と塗り薬のどっち?新薬ネイリンを含めて解説

というわけで、この記事では、爪水虫で皮膚科を受診した時に使われる飲み薬と塗り薬について、
副反応や飲み合わせなども含めて詳しくお話ししてきました。

病院で処方される爪水虫薬の場合、飲み薬の方が爪水虫に対しての治療効果は高いですが、
肝機能への影響、併用薬との飲み合わせなど、デメリットになることもあります。

塗り薬は、副作用は少ないですが、治療効果が飲み薬よりも劣る傾向があります。

爪水虫の症状の程度にもよりますが、医師と相談して自分に合った薬を選んでいきましょう!