こんにちは。
現役薬剤師の安美です。
花粉症は目のかゆみがつらいですよね。
私も軽い花粉症で、とくに目にくるタイプです。
なので、春先は花粉症対策の目薬にお世話になります。
私が使っているのが、パタノール点眼液です。
この記事では、パタノール点眼液(オロパタジン点眼液)について、ジェネリックや市販薬の有無も含めて詳しくお話ししていきたいと思います。
パタノール点眼液はどんな目薬?
パタノールという名前がついていますが、一般名(成分名)はオロパタジンです。
このオロパタジンという成分は、抗アレルギー薬の飲み薬のアレロックと同じです。
アレロックは切れ味のよい抗アレルギー薬ですが、眠たくなりやすいです。
添付文書にも、「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。」と記載があります。
花粉症をはじめとするアレルギー症状を引き起こす原因となるヒスタミンなどの働きをおさえ、
花粉症の目のかゆみ、いわゆる花粉アレルギーの結膜炎の治療に使われます。
ヒスタミンの放出の抑制
+
ヒスタミンが受容体に結合してかゆみなどの症状を引き起こすのを防ぐ
という2つの働きをしていると考えられています。
ここが、以前からあるリボスチン点眼やザジテン点眼液とはちょっと違うところです。
花粉症の時期でも天気や風の影響なのか、かゆみが全くない日もあったりするので、
私は目のかゆみがつらい時だけ使っています。
でも、「花粉症の時期はいつも目のかゆみがつらい」という方は予防的に使っても効果が期待できると思います。
それは、日本アレルギー学会のこちらの見解が根拠です。
花粉飛散予測日の約2週前、または症状が少しでも現れた時点で目薬の使用を始めると、花粉飛散ピーク時の症状が軽減される
日本アレルギー学会のガイドライン
パタノール点眼液と同じ成分の市販薬やジェネリックはある?
パタノール点眼液と同じ成分の市販薬の目薬はない
残念ながら、パタノールと同じ成分であるオロパタジンの目薬は市販されていません。
2022年の花粉症シーズンにパタノール点眼液を使う場合は、病院を受診して処方箋が必要になります。
ちなみに、花粉症の目のかゆみにおすすめの市販薬はこちらにまとめています。
花粉症の目の痒みや鼻水、鼻づまりに役立つ市販薬【薬剤師おすすめ】
パタノール点眼液にはジェネリック医薬品やAGのオロパタジン点眼液がある
パタノール(オロパタジン)の市販薬はありませんが、ジェネリック(後発医薬品)は2021年12月に発売となりました!
さらに、ジェネリックのオロパタジン点眼液0.1%「サンド」はAG(オーソライズド・ジェネリック)です。
オーソライズドジェネリックとは、先発医薬品のメーカーから特許権の許諾をうけてつくられた添加物や原薬、作り方が全く同じ後発薬のことです。
限りなく先発医薬品に近い後発医薬品ということですね。
ちなみに、AGの第一号は抗アレルギー薬のアレグラなんですよ。
オーソライズドジェネリック医薬品一覧表、日本初のAGはアレグラ!
薬剤師はジェネリックが基本の勤務先の薬局。
私が今シーズンの花粉症に使うのは、パタノールAGのオロパタジン点眼液0.1%「サンド」になりそうです(^-^;
パタノールとアレジオン点眼液の違い比較
パタノール点眼液は、アレジオン点眼液と同じ抗アレルギー薬です。
(成分にステロイド入ってることはありません)
パタノール点眼液とアレジオン点眼液*の比較をしてみました。
*アレジオン点眼液は0.05%とLXの2種類あります。
パタノール点眼液とアレジオン点眼液の効果や用法用量の比較
■添付文書上の効果効能:同じ。アレルギー性結膜炎
アレジオンもパタノールも、ヒスタミンの放出の抑制とヒスタミンが受容体に結合してかゆみなどの症状を引き起こすのを防ぐ2つの働きをしていると考えられています。
■用法(使用回数):アレジオンLXのみ違う
パタノール点眼液、アレジオン点眼液0.05%:1日4回(朝、昼、夕方及び就寝前)点眼する。
アレジオンLX点眼液:1日2回(朝、夕)点眼する。
アレジオンLX点眼液は成分を高濃度化したことで、効果に持続性を持たせた目薬です。
■コンタクトレンズしたまま使えるか:パタノールは不可
アレジオン点眼液0.05%、アレジオンLX点眼液はコンタクトレンズしたまま点眼可能。
防腐剤が添加されていませんが、開封後28日間は安全に使うことができるとされています。
■ジェネリック(後発医薬品の有無)
パタノール(オロパタジン点眼液)、アレジオン点眼液0.05%(エピナスチン塩酸塩点眼液0.05%)はジェネリック(後発医薬品)があります。
アレジオンLX点眼液はジェネリックはありません。
抗アレルギー薬の効果の出方には個人差があるので、一概に強い・弱いとはいえませんが、コンタクトレンズの使用や1日の点眼回数で選ぶとよいのではと思います。
花粉症にも役立つコンタクトしたまま使える市販の目薬については、花粉症の目薬でコンタクトしたまま使える市販薬【薬剤師おすすめ】にて詳しく解説しています。
小学生の娘がアレルギー性結膜炎になったときは、アレジオンLX点眼液が処方されました。
子どもは目薬が苦手なことが多いので、1日4回点眼するのは大変ですよね。
1日2回の点眼で同じ効果が得られるメリットを重視してのことだと思います。
パタノール点眼液とアレジオン点眼液の薬価(薬の値段)の比較
ある程度続けて目薬を使う場合、薬の値段も気になりますよね。
パタノール点眼液とアレジオン点眼液及びそれれぞれのジェネリック医薬品について、薬の価格を比べてみました。
パタノール点眼液とアレジオン点眼液の薬価比較
薬の名前 | 薬の値段 |
パタノール点眼液(先発品) | 831円/5mL(1本) |
オロパタジン点眼液 (パタノールのジェネリック) |
320円/5mL(1本) |
アレジオン点眼液0.05% | 1696円/5mL(1本) |
エピナスチン点眼液0.05% (アレジオンのジェネリック) |
799円/5mL(1本) |
アレジオンLX点眼液 | 3381.5円/5mL(1本) |
見てわかる通り、パタノール点眼液の方がアレジオン点眼液より薬の値段は安いです。
パタノール点眼液のジェネリック(先発薬と同じAGも同じ値段!)は、さらに安くなります。
コンタクトレンズの使用などがなければ、パタノール点眼液(ジェネリックを含めて)を私はおすすめします!
パタノール点眼液はものもらいに効く?
「ものもらいにも使えますか?」
薬局で時々質問されることがあります。
パタノール点眼液はものもらいには効きません!
添付文書の効果効能にもアレルギー性結膜炎だけが明記されています。
というのは、
ものもらいは、からだに普通にいる常在細菌(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌)が、まぶたの皮脂腺や汗腺で増えすぎて化膿して起きます。
ものもらいの原因は、アレルギーではなく細菌。
感染症なんです。
なので、パタノールやアレジオン点眼液といったアレルギー性結膜炎の目薬はものもらいには使いません。
でも、ものもらいと気付かずにパタノール点眼液を使ってしまった!
としても、問題はありません。
ものもらいには効きませんが、ものもらいを悪化させることはないので安心してください。
ものもらいの治療としては、原因となる細菌に抗菌効果のある目薬や眼軟膏がよく効くので使われます。
処方薬とは違う成分になりますが、市販薬にも抗菌目薬はあります。
子どもが使える目薬もあるので、急なものもらいで困ったときの応急処置にこちらの記事をお役立てくださいね。
子どものものもらいにも使える!薬剤師おすすめの市販の抗菌目薬3選
さいごに
というわけで、
私も愛用している抗アレルギー薬の目薬、パタノール点眼液について、アレジオン点眼液との比較を交えつつお話してきました。
パタノール点眼液は、アレロックという飲み薬の成分オロパタジンの目薬です。
2022年現在、同じ成分の市販薬はありませんが、
ジェネリック医薬品(後発医薬品)はあります。
パタノール点眼液はコンタクトレンズをしたまま使用することはできませんが、アレジオンよりも薬の値段が安いというメリットがあります。
私にとっては花粉症の時期になくてはならない目薬です。
もし、同じように目のかゆみでつらい方は一度処方してもらうことをおすすめします!
■こちらの記事に、いろいろな花粉症対策をまとめているので、お役立てください!
花粉症の目の痒みや鼻水、鼻づまりに役立つ市販薬【薬剤師おすすめ】