「病院では異常なしと言われたけど、動悸が起きると不安」
「更年期には漢方薬がいいと聞いたけれどよくわからない」
そんなお悩みはありませんか?
更年期の動悸は、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れが関係していることがあります。
そして、漢方薬は、動悸だけを抑えるのではなく、冷えやのぼせ、不眠、イライラなど更年期に起こりやすいいろいろな症状も含めて体全体のバランスを整えることを目的としています。
この記事では、薬剤師の視点から、更年期の動悸に使われる代表的な5種類の漢方薬と選び方のポイントをわかりやすく解説します。
更年期の動悸に漢方薬が選ばれる理由
更年期の動悸は、検査を受けても「異常なし」と言われることが少なくありません。
■関連記事:更年期の動悸はなぜ起こる?原因・対処法・受診の目安を薬剤師が解説

このような場合は、女性ホルモンのゆらぎからくる自律神経の乱れが関係していることも多く、漢方薬が選択肢になることがあります。
漢方では、「動悸」という症状だけを見るのではなく、
冷えはあるか
のぼせはあるか
疲れやすいか
イライラしやすいか
不眠はあるか
など、全身の状態を総合的に考えて漢方薬を選びます。
そのため、動悸という病名だけ選ぶことはなく、「更年期の動悸にはこの漢方薬」と決まっているわけではありません。
一人ひとりで合う漢方薬が違うというわけですね。
更年期の動悸に使われる代表的な漢方薬5選
そこで、更年期の動悸に使われる代表的な漢方薬をご紹介します。
更年期の動悸の漢方薬1:加味逍遙散(かみしょうようさん)
【このような方に】
✅イライラ
✅のぼせやホットフラッシュ
✅疲れやすい
✅気分の浮き沈みがある

更年期障害によく用いられる代表的な漢方薬です。
ホットフラッシュや精神的な不調などいくつか不調が重なる方に処方されます。
更年期の動悸の漢方薬2:当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
【このような方に】
✅冷え性
✅貧血気味
✅むくみやすい
✅めまいがある

婦人科系の不調によく用いられる漢方薬です。
どちらかというと体力があまりなく、冷えやむくみがある方に処方されます。
更年期の動悸の漢方薬3:苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
【このような方に】
✅めまいがある
✅立ちくらみがある
✅息切れする
✅耳鳴りがする

体内の水分の偏り(水滞)が関係している不調に用いられる漢方薬です。
更年期の動悸の漢方薬4:半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
【このような方に】
✅不安が強い
✅のどに何かつかえる感じがする
✅緊張すると動悸が出やすい
✅めまいがある

ストレスとの関係が強い不調によく使われる漢方薬です。
更年期の動悸の漢方薬5:炙甘草湯(しゃかんぞうとう)
【このような方に】
✅脈が飛ぶ感じがする
✅息切れする
✅疲れやすい
✅手足がほてる

別名、復脈湯(ふくみゃくとう)とも呼ばれ、動悸や脈の乱れなどに用いられる漢方薬です。
漢方薬を服用するときの注意点
漢方薬は比較的副作用が少ないといわれますが、副作用がまったくないわけではありません。
とくに、甘草を含む漢方薬では、服用量や服用期間で偽アルドステロン症などの副作用に注意が必要です。 医師や薬剤師の指導のもとで服用しましょう。
偽アルドステロン症では、血圧の上昇やむくみ、力が入りにくい、筋肉痛、こむら返りなどの症状が現れることがあります。
また、複数の漢方薬や医薬品を併用すると、同じ生薬が重複することもあります。
漢方薬を服用する際は、現在飲んでいる薬やサプリメントなども含めて、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
動悸は心臓や甲状腺などの病気が原因で起きることもあります。
胸の痛みや強い息苦しさ、失神などを伴う場合や、症状が悪化したり長く続いたりする場合は、「更年期だから」と自己判断せずに一度、受診するようにしてください。
更年期の動悸の漢方薬でよくある質問
更年期の動悸や漢方薬でよくある質問をまとめました。
Q1:更年期の動悸に漢方薬はどのくらいで効きますか?
体質や症状によって異なり、個人差もありますが、数週間で変化を感じる方もいれば、数か月かけて改善していく方もいます。
Q2:市販薬と病院の漢方薬は違いますか?
ドラッグストアでも、更年期向けの漢方薬は販売されています。
一般的に、医療用(処方せんが必要)の漢方薬より配合量が少ないことが多いです。
また、メーカーにより、量や剤形(粉薬、錠剤)が異なる場合があります。
医療用は医師が症状や体質をみながら処方するため、自分に合った漢方薬を選びやすいというメリットがあります。
まとめ:更年期の動悸5種類の漢方薬の比較表
| 漢方薬 | こんな症状がある方に |
|---|---|
| 加味逍遙散 | イライラ・のぼせ・ホットフラッシュ |
| 当帰芍薬散 | 冷え・むくみ・めまい |
| 苓桂朮甘湯 | めまい・立ちくらみ・動悸 |
| 半夏厚朴湯 | 不安・緊張・のどのつかえ |
| 炙甘草湯 | 動悸・脈の乱れ・疲れやすさ |
更年期の動悸には漢方薬も選択肢に
更年期の動悸には、女性ホルモンの変化による自律神経の乱れが関係していることがあります。
検査で異常がない場合は、漢方薬も選択肢のひとつです。
体質や症状に合った漢方薬は、動悸だけでなく、更年期に伴うさまざまな不調の改善が期待できるというメリットもあります。
