この記事では、トラネキサム酸と市販薬のバファリンとの飲み合わせについて、薬剤師が解説しています。
風邪や扁桃腺炎などで喉が痛い時に処方されたトランサミン(トラネキサム酸)。
「発熱や頭痛もするから、市販薬のバファリンを飲みたいけど、飲み合わせが気になる」
「持病があり、病院で処方されたバファリンも飲んでるけど一緒にのんでも大丈夫かな」
トラネキサム酸とバファリンを併用してもいいの?
という疑問に、市販薬と医療用のバファリンについて、それぞれ詳しく答えていきたいと思います!
この記事を読むと、飲み合わせに対する不安がかるくなりますよ^^
喉の痛みに使われるトランサミン(トラネキサム酸)とはどんな薬?
トラネキサム酸は、トランサミンという薬の成分名。
トランサミンのジェネリック医薬品(後発薬)がトラネキサム酸ということになります。
もともとは、出血を止める薬として使われていました。
というのは、
トラネキサム酸は、血液を溶かす物質(プラスミン)のはたらきを抑えるからです。
このプラスミンは、体の炎症にも関わっています。
つまり、トラネキサム酸でプラスミンのはたらきを抑えると、炎症や腫れも抑えられるというわけですね。
トラネキサム酸は、風邪や扁桃腺の喉の痛みや腫れによく使われています。
使用歴が長い安全性の高い薬です。
美容分野でも、トラネキサム酸は、肝斑(メラニンをつくり出すメラノサイトへの色素沈着抑制作用による)の改善で注目されています!
市販薬のバファリンと医療用のバファリンは成分に違いがある
処方せんが必要な医療用のバファリンの成分はアスピリン
病院を受診して医師に処方されるバファリン(バファリン配合錠A81)の主成分は、アスピリンです。
このアスピリン、量が多いと解熱鎮痛薬として使われますが、量が少ないと使われ方が違います。
医療用のバファリンは、量の少ない「低用量アスピリン」として使われます。
血栓の原因となる血小板の凝集を阻害して、脳梗塞や心筋梗塞を予防します。
医療用のバファリンは、解熱鎮痛が目的ではないんですね。
市販薬のバファリンの一覧表(解熱鎮痛成分の違い)
市販薬のバファリンには様々な種類があります。
同じ「バファリン」という製品名でも、それぞれ成分が違います。
解熱鎮痛成分に注目して一覧表にまとめました。
製品名 | 解熱鎮痛成分 | 用法用量 |
バファリンプレミアムDX | イブプロフェン:160mg アセトアミノフェン:160mg 無水カフェイン:50㎎ |
成人(15才以上) 2錠/回 1日2回まで 再度症状が出た場合は3回目を服用可能 |
バファリンプレミアム | イブプロフェン:130mg アセトアミノフェン:130mg 無水カフェイン:80mg アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg |
成人(15歳以上) 2錠/回 3回を限度とする |
バファリンルナi | イブプロフェン:130mg アセトアミノフェン:130mg 無水カフェイン:80mg |
成人(15才以上) 2錠/回 3回を限度とする |
バファリンルナJ | アセトアミノフェン 100mg | 15才以上 3錠 11才以上15才未満 2錠 7才以上11才未満 1錠 |
小児用バファリンCII | アセトアミノフェン:33mg | 11才以上15才未満 6錠/回 7才以上11才未満 4錠/回 3才以上7才未満 3錠/回 3回を限度とする |
小児用 バファリンチュアブル |
アセトアミノフェン:50mg | 11才以上15才未満 4錠/回 7才以上11才未満 3錠/回 3才以上7才未満 2錠/回 |
バファリンジュニアかぜ薬a | アセトアミノフェン:50mg 無水カフェイン:4.17mg |
11才以上15才未満 4錠/回 7才以上11才未満 3錠/回 5才以上7才未満 2錠/回 |
バファリンA | アスピリン(アセチルサリチル酸) 660mg | 成人(15才以上) 2錠/回 2回を限度とする |
バファリンライト | アスピリン(アセチルサリチル酸) 440mg | 成人(15才以上) 2錠/回 3回を限度とする |
キッズバファリン かぜシロップSおよびS・P |
アセトアミノフェン 300mg (60mL中) |
3才以上7才未満 10mL/回 1才以上3才未満 7.5mL/回 6ヵ月以上1才未満 6mL/回 3ヵ月以上6ヵ月未満 5mL/回 |
※ キッズバファリンせきどめシロップS、キッズバファリン鼻炎シロップSは解熱鎮痛成分を含まないので、一覧表には記載していません。
トラネキサム酸と市販薬のバファリンとの飲み合わせ、併用可能?
市販薬のバファリンに含まれる解熱鎮痛成分は、以下の5種類です。
・イブプロフェン
・アセトアミノフェン
・アスピリン
・無水カフェイン
・アリルイソプロピルアセチル尿素
炎症を抑えるはたらきがあるトラネキサム酸。
「バファリンも解熱鎮痛薬だから、一緒に飲んだらいけない。併用できない。」
そう思う方も少なくないようです。
実は、
バファリンとトラネキサム酸は、どちらも飲み合わせに問題はありません!
というのは、
トラネキサム酸とカロナール、イブプロフェン、アスピリンなどの解熱鎮痛成分は、それぞれ痛みや腫れ、炎症を抑えるメカニズムが違うからです。
きちんとした正しい用量を飲んだ場合、併用することで効きすぎる(抑え過ぎる)、副作用が出るということはないので安心してください。
また、市販の風邪薬では、「トラネキサム酸とアセトアミノフェン」「トラネキサム酸とイブプロフェン」を配合して相乗効果をねらったものもあるくらいです。
トラネキサム酸とカロナールやロキソニンなど鎮痛剤との飲み合わせで詳しく解説しているので、参考にしてくださいね!
トランサミン(トラネキサム酸)を処方されている方が市販の風邪薬をのむ時には、トラネキサム酸が重複していないか、しっかり確認するようにしましょう。
医療用のバファリンとトラネキサム酸を併用しない理由
医療用のバファリンの主成分、アスピリンとトラネキサム酸の飲み合わせは問題ありません。
ただし、医療用のバファリンは、脳梗塞や心筋梗塞を予防する目的で処方されることが多いです。
トラネキサム酸は止血作用があり、血液を固まりやすくする(血栓溶解を抑制)ため、脳梗塞や心筋梗塞といった持病がある方には注意が必要です。
添付文書でも、慎重投与の項目に「血栓のある患者(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎等)及び血栓症があらわれるおそれのある患者[血栓を安定化するおそれがある。]」と記載されています。私の勤務先の薬局では、血栓のできやすい方、リスクのある方にはトラネキサム酸は処方されたことがありません。
医療用のバファリンとトラネキサム酸は相互作用はありませんが、血栓リスクがあるため、あまり併用はされないと思います。
ただし、禁忌ではないので、医師の判断のもとに処方される可能性もあると思います。処方された場合は、一緒に飲んでも大丈夫か確認するようにしましょう。
さいごに:トラネキサム酸とバファリンの飲み合わせ、市販も処方薬も併用可能?
トランサミン(トラネキサム酸)と市販薬もしくは医療用のバファリンとの飲み合わせについて、詳しくお話ししてきました。
トラネキサム酸と市販のバファリンの飲み合わせには問題ありません。
一緒に飲んで大丈夫です。
市販の風邪薬には相乗効果をねらって、トラネキサム酸とバファリンに含まれている解熱鎮痛成分をあえて一緒に配合している薬もあります。
トラネキサム酸を処方されていて、市販の風邪薬を飲むときは、重複に気をつけてくださいね!
医療用のバファリンの主成分とトラネキサム酸との飲み合わせは、相互作用的には問題がありません。
ただ、トラネキサム酸の止血作用による血栓リスクがあるため、併用することは少ないです。
処方された場合は、医師もしくは薬剤師に問題ないことをしっかり確認すると安心だと思います。