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花粉症の治療に使うステロイド注射、薬の種類別に考える副作用リスク

健康について
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こんにちは! 現役ママ薬剤師の安美です。

 

「花粉症を予防するための注射があると聞いたことがあるけど、
どんなものか知っていますか?」
勤務先の薬局の患者さんから、こんな質問がありました。

鼻水、鼻づまり、目のかゆみ・・・
花粉症がひどいと、本当につらいですよね。

「注射するだけでこのつらさから解放されるのなら、試してみたい!」
切実な声だと思います。

そこで今回は、患者さんから質問があった、花粉症の注射についてお話ししていきます。

 

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注射で花粉症が予防できる?

今は使っている病院は少ないと思いますが、
花粉症の治療にステロイドの注射が使われていたこともありました。

ただし、
「ステロイド注射を1回するだけで、花粉症がなおる」
というわけではありません。

花粉症の治療に使われるステロイド注射(ケナコルトA)は、長い時間、体の中で効果が続くタイプのステロイド。
1回注射をすると、約2-3か月効果が続きます。

ステロイドのはたらきで、鼻水や鼻づまり、かゆみや腫れといった目の炎症を無理やり抑えているだけです。

つまり、ステロイド注射は、対処療法で、花粉症の予防にはなりません。

 

しかも、長く効果が続くのは一見よさそうですが・・・

反対に言うと、
副作用もそれだけ起きやすい状態になってしまうことになります。

【ステロイドの副作用】

・ムーンフェイス(顏が丸くなる)

・メンタル的に不安定になる

・骨がもろくなりやすくなる

・風邪やインフルエンザになりやすくなる

・糖尿病や緑内障や白内障といった目の病気になりやすくなる

ステロイドの副作用といえば、ここで書くまでもなくたくさんあります。

 

注射というかたちでステロイドが入ると、体全体に作用していきます。

効果が持続するというのはメリットなんですが、
それだけ、ステロイドの副作用リスクが高くなるってことです。

もしも、副作用が出てしまったら、
ステロイドが代謝されてからだの外にでるのを待つしかない
というのが一番怖いところ。

なので、
花粉症のステロイド注射は日本アレルギー学会、日本耳鼻咽喉科学会といった医療者の団体でも、非推奨としている治療法です。

 

花粉症の治療には、同じステロイドでも注射よりも点鼻薬や目薬なら安心

花粉症の症状がひどい場合は、セレスタミン配合錠という飲み薬もよく使われます。

セレスタミン配合錠は、鼻水やくしゃみ、かゆみを抑えるクロルフェニラミンという抗ヒスタミン剤とステロイドをあわせて一錠にした薬です。

とても切れ味のよい薬ですが、
やはりステロイドの副作用リスクを考えて、短期間の使用にした方がよいと個人的には思います。

(注射よりは代謝されて速く体の外にでるし、飲むのを中止したらよいのでリスクは低いですが、やはり全身に作用するのは最低限にすべきだと思うからです。)

 

ステロイドといえば、
花粉症がつらい方は、ステロイドの点鼻液や目薬を使った経験がありませんか?

鼻つまりがひどいときは、アラミストやナゾネックスといった点鼻液、
目のかゆみがつらいときは、フルメトロン、リンデロンといったステロイドの目薬。

同じステロイドでも、
季節限定、部分的な使い方だったら、副作用はでにくいです。

 

というのは、
点鼻薬や目薬に含まれているステロイドの量も少ないので、
体に吸収されても、その影響は少ないと考えられるからです。

(ただし、個人差があるので、全く副作用がでないとは言えません。)

 

最近は内服薬も従来の抗ヒスタミン剤だけでなく、抗ロイコトリエン薬など眠気が少なく効果が高いものが多く出ており、ステロイドを使わざるをえない人はきわめてまれです。 それでもステロイドを使いたいのなら、容量調節(症状が軽いときや副作用が出たときに薬を減らす)ができる内服薬で飲むべきでしょう。

 

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ステロイド注射以外の花粉症の注射

アレルゲン免疫療法(皮下免疫療法)

 

シダトレンという舌下免疫療法を聞いたことはありますか?

スギ花粉エキスを舌の裏(舌下)に投与することで、少しずつスギ花粉を体に取り入れていく治療法です。

ワクチンと似たような感じで、
花粉症の原因であるアレルゲン(スギ花粉)を少しずつ投与して
体を花粉に慣らして=花粉を異物だと思わないようにして、花粉症のアレルギー症状をやわらげる方法です。

 

その元になったのが、舌下ではなく注射でスギ花粉を少しずつ体にいれていく治療法、皮下免疫療法です。

昔からある治療法で、現在も保険適応ですが、
通院を続けないといけないことと注射への抵抗感からか、あまり普及していない印象があります。

 

ゾレア皮下注(オマリズマブ)

2019年12月に保険適応になったばかりの花粉症の注射が、ゾレア皮下注(オマリズマブ)です。

アレルギー反応を引き起こす抗体に直接はたらく抗体製剤で、もともとは、重症の気管支喘息や蕁麻疹の患者さんに使われていた注射薬です。

これまでの治療法では効果がなかった、ひどい重症のスギ花粉症の治療薬として保険適応となりました。

薬剤師:安美
薬剤師:安美

保険適応になると、全額自己負担せずに、診断のもと処方してもらえます。

ただし、注射薬のゾレアはとっても値段が高く、使える病院やケースも限られています。

また、12歳以上が対象です。

 

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さいごに:花粉症の治療に使うステロイド注射、薬の種類別に考える副作用リスク

というわけで、
勤務先の薬局の患者さんから質問があった、花粉症の注射についてお話ししてきました。

ステロイド注射薬は、花粉症の予防にはならず対処療法です。

副作用のリスクもあるので、他の治療法を試していきましょう。

 

■こちらの記事に、いろいろな花粉症対策をまとめているので、お役立てください!
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