こんにちは!
現役ママ薬剤師の安美です。こんにちは。
この記事では、インフルエンザ治療薬と牛乳アレルギーについてお話します。
インフルエンザ検査で陽性がでると、
必ずといっていいほど、インフルエンザ治療薬が処方されますよね。
タミフル、新薬のゾフルーザは飲み薬、
イナビル、タミフルは吸入薬(吸うタイプ)、
選択肢もいろいろです。
でも、知っていましたか?
イナビルやリレンザといった吸入薬のインフルエンザの治療薬は、牛乳アレルギーの人は注意が必要な薬なんです。
詳しくお話していきますね。
病院で処方されるインフルエンザ治療薬、タミフル・リレンザ・イナビルの違い
今は、イナビルやリレンザといった吸入薬(機械を使って口から吸い込む薬)が、インフルエンザの治療にメインで使われています。
あと、比較的新しいゾフルーザも1回飲むだけでOKという手軽さで、使われるようになりました。
まだ、吸入ができない赤ちゃんや子どもは、タミフル(飲み薬、粉もあり)が使われることが多いですね。
(ゾフルーザも10Kg以上の子どもに使えますが、新薬の子どもへの使用は慎重な医師も多いです。)
イナビルは、口から吸う、吸入薬です。
1回吸入するだけで、長く効くタイプのお薬です。
タミフルは、5日間飲まなければいけません。
リレンザという別の吸入のお薬も、1日2回、5日間続けて吸入をしなければいけません。
そう考えると、イナビルの1回だけの吸入は、とってもラクチンです。
でも、特に、子どもは吸入に慣れていないことが多いもの。
一回勝負のイナビルの吸入をきちんと吸入することができなかったら、効き目めがでない!
そう考えて、わざと1日2回、5日間吸入が必要なリレンザが、子どものインフルエンザに使われることもあるようです。
(イナビルの方が長く効くので1回ですみますが、リレンザも同様の効果があります。)
ちなみに、インフルエンザ治療薬は発症後48時間以内に使う必要があります。
なので、イナビルが効かなかったから、今度はリレンザを処方ってことはありません。
(イナビルとリレンザを併用することもありません)
タミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザの添付文書(お薬の説明書)には、
「抗ウイルス薬の投与がインフルエンザ感染症の全ての患者に対して必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、使用の必要性を慎重に検討すること。」
こう書いてあります。
インフルエンザは、本来、ゆっくり安静にしていたら、自分のちからで回復するものです。
薬を使うか使わないかは、判断がわかれるところですね。
「つらい熱やだるさを1日でもいいから短くしたい。」という人には、ありがたいかもしれません。
現在は、吸入薬を使える患者さんには、イナビルやリレンザが使われることが多いです。
(ゾフルーザは判断がわかれるところ)
ですが、牛乳アレルギーがある場合は、吸入薬の使用に注意が必要です。
乳製品アレルギーがある場合は、イナビルやリレンザの使用に注意!
イナビルやリレンザといった吸入薬には、
吸入する薬の粉末に乳たんぱくを含む乳糖が含まれています。
イナビルやリレンザの使用上の注意として、
「乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に投与した際にアナフィラキシーがあらわれたとの報告があるので、投与に際しては十分に注意すること」と記載されています。
なので、
牛乳や乳製品などの乳(牛乳)アレルギーの方は、イナビルやリレンザの使用は避けた方がよいです。
薬の副作用などの報告が掲載されている安全性情報に、
インフルエンザの吸入薬で、アナフィラキシーがおきた報告例が書いてありました。
報告によると、
牛乳のアレルギーだけではなく、他の食べ物のアレルギーやぜんそくの持病もあったそうです。
幸い、その後の治療で大事にはいたらなかったよう。
本当によかったです。
ぜんそくなどの持病をお持ちの方も注意が必要ですね。
また、塩野義製薬の資料によると、ゾフルーザ錠の添加物として使っている乳糖水和物にも、牛乳由来の微量の乳蛋白質が含まれている可能性があるとのこと。
ゾフルーザの使用上の注意には、乳製品アレルギーについての記載はありませんが、注意した方がよいです。
タミフルは、牛乳アレルギーの人でも問題ありません。
個人的には、牛乳アレルギーの方がインフルエンザ薬を使用する場合は、タミフルを選んだ方がよいかと思います。
牛乳アレルギーでも使える薬なのか、自分でもチェックするようにしよう!
「病院でもらうお薬だから、大丈夫!」
そう思っているお母さんも多いかもしれません。
牛乳アレルギーのことは、ちゃんと初めて受診した時のアンケート、問診票に書いたし、医師に伝えてあるから大丈夫!
・・・でも、念には念を入れましょう!
自分でも(子どもの場合は、お父さん、お母さんが)、アレルギーがあっても使える薬なのか、必ずチェックしてください。
というのは、私自身の体験からそう強く思うからです。
うちの長男は、卵・牛乳・大豆の食物アレルギーがありました。
食物アレルギーのため、毎日の食事やおやつにも気をつけつつ、職業柄、病院で出される薬にも注意していました。
ある時、長男に処方された薬に、レフトーゼ(今は使われません)という卵アレルギーにはダメな薬がありました。
処方せんを見て気づいたので、すぐに薬を変えてもらいましたが、かかりつけ医だったのに・・・とかなり驚きました。
牛乳アレルギーの人は、吸入薬以外にも、タンナルビン(下痢止め)、ラックビーR、エンテロノンR(乳酸菌製剤、整腸剤)にも注意してくださいね。
(同じラックビーでも、ラックビー微粒Nは牛乳由来成分を含まないので大丈夫です)
まとめ:牛乳アレルギーは注意!インフルエンザの吸入薬のイナビルやリレンザ
というわけで、
牛乳アレルギーの方は、リレンザ、イナビルといった吸うタイプ(吸入薬)のインフルエンザ薬に注意が必要です。
インフルエンザの薬に限らず、
アレルギーや持病、併用薬、気になることは、お医者さんや薬剤師さんにちゃんと伝えることが大切ですね。
特に、子どもを守るために!
もちろん、私たち医療者も注意しています。
医療をうける側も「自分や家族のからだは自分で守る!」と意識してもらえたらと思います。