こんにちは!
現役ママ薬剤師の安美です。
この記事では、インフルエンザの腰痛や背中の痛み、筋肉痛がつらい時に湿布を使うことのリスクについて、現役薬剤師の立場からお話します。
インフルエンザといえば、
高熱がつらい!というイメージがありませんか?
でも、熱よりも、背中や腰など、体の痛みの方がつらく感じることもあります。
私が去年インフルエンザB型に罹患した時も
微熱程度でしたが、とにかく腰が痛くて痛くて、つらかった記憶があります^^;
「インフルエンザの時には、解熱剤を使わない方がいいらしい。
でも、湿布は貼っていいのかな?」
疑問に感じるお母さんもいらっしゃるかもしれないですね。
というわけで、インフルエンザと湿布薬について詳しくお話したいと思います。
インフルエンザになると、腰痛や関節痛が出る理由
高い熱がでるときって、
腰や背中のあたりがすっごく痛くなることありませんか?
筋肉痛のような痛みを感じることもあります。
私も経験がありますが、
急にひどい腰痛が始まり、しかも、痛みがずっと続きます。
これは、発熱と同じ仕組みで起きます。
体の炎症反応。
からだがインフルエンザウィルスと戦っているからこその痛みです。
勤務先の薬局では、
「背中が痛くて眠れなかった」
という患者さんもいらっしゃいました。
ただでさえ、発熱でしんどい時に、ゆっくり眠れないのはつらいですよね。
「痛みがつらいから、とりあえず湿布を貼ろう」
こういう時、貼るだけで気軽に使える湿布はとても便利です。
でも、インフルエンザの流行時期は、発熱時の腰痛や背中の痛みに湿布を使うのは、注意が必要です。
インフルエンザ流行時期の腰痛や背中の痛み、筋肉痛や関節痛に湿布を貼っていい?

薬の種類で、NSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれるものがあります。
いわゆる、非ステロイド性の解熱鎮痛剤です。
具体的には、ロキソニン、ボルタレン(処方薬)などがあります。
インフルエンザの時にNSAIDsの解熱鎮痛剤を飲むと、インフルエンザ脳症の発症や重症になるリスクがあがる
といわれています。
インフルエンザ脳症は、ごくまれにおきるインフルエンザの合併症です。
出はじめの症状は、
視線があわない、
つじつまのあわないことを言う、
けいれん
といわれています。
参考リンク一般社団法人 日本小児神経学会
湿布の成分にも、脳症のリスクが高まる恐れがある
ボルタレンやロキソニンといったNSAIDsが鎮痛薬として使われています。
ボルタレンテープ、ロキソニンテープ、ロコアテープとかですね。

湿布って、貼る薬。
なので、貼った部分にだけにしか効果がない!
そう思っている患者さんも時々いらっしゃいます。
でも、湿布は、皮膚を通して薬が吸収されて、全身にはたらきます。
(飲んだ時よりは血液中の濃度は低くなります)
なので、
湿布に含まれる鎮痛剤の成分が、皮膚から吸収されて血液中に入ると、
たとえわずかな量でも危険だと私は思います。
できるだけ、薬のリスク、脳症のリスクは避けたいですよね。
しかも、インフルエンザ脳症の原因って、まだきちんとわかっていません。
ほとんどは5歳以下のお子さんにおきますが、
大人でも脳症になる可能性を否定することはできません。
インフルエンザになっていても、腰や背中の痛み、筋肉痛の痛みだけを強く感じて、
熱が出ていることに気づかないこともあります。
インフルエンザとは気づかずに、
「腰痛だから、湿布を貼って様子をみよう」
そんなこともあるかもしれませんよね。
インフルエンザかもしれない、
発熱と腰や背中の痛みが急に同時に起きた、
そんなときは、念のためにも湿布の使用は控えましょう。
インフルエンザでなくてもNSAIDsの湿布を使ったらダメです。
(バンテリンやエアーサロンパスもだめです)
子どもにも安全な解熱鎮痛薬として、
カロナール(アセトアミノフェン)が使われます。
カロナールの湿布はありません。
まとめ:インフルエンザ流行時の関節痛や腰痛に湿布薬を使う時は注意して!
ということで、
インフルエンザの腰痛や関節痛、筋肉痛に湿布を貼っていいかについて、現役薬剤師の立場からお話してきました。
ロキソニンやボルタレンといったNSAIDsの解熱鎮痛剤を飲むと、
インフルエンザ脳症の発症や重症になるリスクがあがるといわれています。
同じ成分の湿布を貼ると、
飲んだ時よりは少ないものの、皮膚から吸収されて全身にまわります。
できれば、リスクは事前に回避したいもの。
発熱と同時に、ひどい腰や背中の痛みが起きた!
もしかしてインフルエンザかもしれない?
そんなときは、念のために、湿布の使用は控えた方がいいと思います。
インフルエンザが流行する時期の湿布の使用は、十分に気をつけてくださいね。
(成分名:ジクロフェナク、フェルビナクなど)