こんにちは。
現役ママ薬剤師の安美です。
痒くなると、塗り薬を塗ると思いますが、
ケアを間違えると、大変なことになります。
特に、おしりがかゆい時や赤ちゃんのおむつかぶれの場合は要注意です!
この記事では、おしりがかゆい、おむつかぶれの時の塗り薬で注意することについて、市販薬も含めて詳しくお話していきますね。
薬を塗っているのにおむつかぶれが治らないのはなぜ?
おしりがかゆいのが、ステロイドを塗っても治らない原因はカビだった
先日、勤務先の薬局でこんなことがありました。
「おしりがかゆいので家にあった薬を塗っても治らず・・・
むしろ、よくなるどころか、悪化していったので、皮膚科に行ったんです。」
詳しく聞くと、
家にあったという薬は、ステロイド軟膏でした。
そして、今回、皮膚科でもらった薬は、抗真菌薬の軟膏でした。
同じ痒みに使われる塗り薬ですが、種類が違いますよね^^;
おそらく、おしりのただれは、
カンジタ菌による皮膚炎だったのだとおもいます。
カンジタというのは、カビ(真菌)のひとつです。
カビというと、
古いパンにできるカビ、お風呂の黒カビをイメージしてしまいがち。
でも、実は、常在菌とよばれるものです。
口や胃の中に普通にいつもいる菌です。
カンジタ菌は、清潔にしていないから増えるのではなく、
免疫力が落ちているときは、増えやすいです。
「かゆみがでてから、
下着や洗うこととか、すごく気にしているのに、カビが原因といわれて、ショックでした。」
患者さんもおっしゃっていました。
不潔さが原因ではなくて、抵抗力の低下が原因とご説明すると、ほっとされたようです^^
ビデなどを多用して清潔にしすぎても、皮膚の抵抗力が弱くなってしまい、
カンジタ菌が増えやすくなることもあります。
赤ちゃんのおむつかぶれの場合も、同じような話をよく聞きます。
赤ちゃんのおむつかぶれにステロイド薬は注意して!
赤ちゃんのオムツの中のように湿度が高くてあたたかい場所では、
カンジタ菌が増えやすいです。
カンジタは、おむつかぶれと似ていて、
悪化するとただれたり、皮がむけることが多いです。
おしりが赤い=おむつかぶれ!
そう思って、余っていたステロイドの塗り薬を塗っていると、
さらに悪くなってしまうことがもよくあります。
それは、
ステロイドが免疫をおさえる方にはたらいて、
カンジタ菌が増えるのを助けてしまうからです。
しかも、おしりや陰部はステロイドが吸収されやすい場所。
強いステロイドは使えません。
カンジタ菌の皮膚炎と、おむつかぶれやお尻のただれ、
見た目で見分けるのは、なかなか難しいとおもいます。
ステロイド軟膏を使っても治らない、
逆にかゆみがひどくなることは中止してください。
カンジタ皮膚炎の薬をおむつかぶれに使っても、
治らずに悪化します。
なかなか治らない、症状がひどくなっていく場合は、
自己判断で薬を使い続けずに、ちゃんと皮膚科を受診するようにしましょう!
おしりがかゆい、おむつかぶれに使える市販薬
カンジタが原因の場合は、抗真菌薬を使おう
おしりがかゆい、
赤くなっている原因が、カンジタの場合、抗真菌薬を使わないと治りません。
【カンジタ皮膚炎の医療用治療薬】
・エンペシド(クロトリマゾール)
・フロリード(ミコナゾール)
エンペシドは市販されていませんが、ミコナゾールは市販されています。
カンジタが原因ではないおむつかぶれの場合
いわゆるおむつかぶれには、ステロイドではない塗り薬が使われることが多いです。
すでに炎症が起きてしまっている状態では、ワセリンなどの保湿剤ではあまり効果はないと個人的には思います。
(おむつかぶれの予防やなりかけの時なら、ワセリンも有効です。)
真っ白い石膏みたいな軟膏、使ったことありませんか?
亜鉛華軟膏(あえんかなんこう)といいます。
刺激が少ない薬で、炎症をやわらげて治りを早くします。
亜鉛化軟膏などを塗っても治らない場合は、ステロイド軟膏を使うこともあります。
ヒドロコルチゾンという弱いステロイドが入ったエキザルベやロコイドなどが、よく使われます。
こちらのロコイダン軟膏は、ロコイド軟膏と同じ市販薬です。
ただ、自己判断でおむつかぶれにステロイドを使うのは、リスクを伴うので皮膚科を受診することをオススメします。
さいごに:おしりがかゆい、おむつかぶれは原因によって市販薬の使い分けが必要!
というわけで、
おしりがかゆい、おむつかぶれの時の塗り薬で注意することや市販薬について、詳しくお話してきました。
カンジタが原因か、いわゆる炎症が起きた状態なのか、
それによって、使う塗り薬は違ってきます。
市販薬で有効なものもなりますが、
自分で見分けることは難しいことが多いです。
なかなか治らない、悪化する場合は、市販薬の使用は中止して、皮膚科を受診するようにしましょう。