こんにちは! 現役ママ薬剤師の安美です。
前回、花粉症の治療に使われる注射についてお話ししましたが、
その続きで、今回は、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法、シダトレン、シダキュア)について詳しくお話しします。
鼻水や鼻づまり、目のかゆみなどのの症状を抑えるステロイドに対して、
花粉症の症状の原因から対応していく根治が期待できるのが、
アレルゲン免疫療法です。
現在は、注射ではなく、舌の裏(舌下、口腔粘膜)から投与する
舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)が主流になっています。
シダトレンやシダキュアが実際に使われています。
つらい花粉症が根本から治せるなんてすごい!
興味がある方も多いのではないでしょうか?
早速、詳しくお話ししていきますね!
スギ花粉症の予防として原因からアプローチ、舌下免疫療法シダトレン
2014年に承認されたスギ花粉症の治療薬シダトレン。
花粉症の中でも、スギ花粉限定の薬です。
花粉症の原因(アレルゲン、抗原)であるスギ花粉を少しずつとり続けることで、
体に「有害なものでなから攻撃しないでね」と認識させて、過剰なアレルギー反応=花粉症を防ぐものです。
あらかじめ準備することで、花粉症も予防できます。
飲み方はカンタンです。
1日1回、薬(シダトレン)を舌の下にたらして、2分間そのままにしてから、飲みこみます。
飲んだ後、5分間はうがいや飲食を控えます。
ちなみに、ダニ(ハウスダスト)の薬は、ミティキュアといいます。
「鼻水や目のかゆみでつらい!」
花粉症シーズンになってしまったら、この治療はお休み。
スギ花粉が落ち着く6月から11月の間の花粉がとんでいない時期に治療をはじめます。
そうしないと、
かえって花粉症が悪化してしまって大変だからです。
(スギ花粉が飛んでいない時期も毎日続けるというのは大変だと思います。)
少しずつ量を増やしていき、最短でも2-3年間は毎日続けないといけません。
すぐに効果の出る治療ではありません。
体が花粉を異物と認識しなくなるまでには、どうしても時間がかかってしまうんですね。
あと、残念ながら、治療をうけた人がみんななおるわけではありません。
(8割くらいといわれています。)
残念ながら、100%効果があるわけではないのは、<免疫>の仕組みならではなんでしょうね。
12歳以上のスギ花粉のアレルギーの人が対象で、病院で保険も適用になります。
副作用としては、口内炎や舌の下が腫れることなどがあります。
勤務先の薬局の患者さんで、舌下免疫療法で治療中の方がいらっしゃいます。
毎年、花粉症シーズンは、鼻水や目のかゆみは当たり前、
頭がぼーっとして、頭痛はするし、毎日とってもつらかったそうです。
飲み薬もあまり効果がなかったそう。
でも、舌下免疫療法をはじめてから、劇的に花粉症の症状がよくなったそうです。
全くなくなったわけではないけど、
鼻や目の症状は飲み薬でケアできるくらい。
「ずいぶん、楽になりました!」
とってもうれしそうにおっしゃっていました。
長い間、毎日飲み続けるのも大変ですし、
副作用の可能性もあるので、
舌下免疫療法は、重症の花粉症の方むけの治療法だと個人的にはおもいます。
妊娠中や授乳中の方もその間は避けた方がいいですね。
小さなお子さんのママも、毎日続けて飲むのが難しそうなら、子育てがひと段落ついてからの方がいいかもしれません。
シダトレン販売中止、スギ花粉の舌下免疫療法はシダキュアへ
スギ花粉の舌下免疫療法の中心を担っていたシダトレンですが、2021年3月31日で販売中止となります。
シダトレンになにか不備があったとかいうわけではなく、
同じ製薬メーカー鳥居薬品のシダキュアに切り替えになる形になります。
シダキュアは、2018年6月に発売になりました。
シダトレンと効能効果は同じで、スギ花粉症のアレルゲン免疫療法に使う薬です。
しかも、シダトレンは液体タイプで冷所保管なのに対して、
シダキュアは、錠剤で室温保管で問題なし。
シダキュアの方が管理しやすいメリットがあります。
さらに、大きな違いは、シダキュアは12歳以下の子ども(原則として5歳以上)にも使えるということ!
1日1回、薬(シダキュア)の錠剤を舌の下において、1分間そのままにしてから、飲みこみます。
そのままでいる時間がシダトレンの2分間からシダキュアは1分間に減っています。
ちょっとの差ですが、意外と大きいですよね!
原則として、5歳以上ならOKのシダキュアですが、正しく舌下錠を使えるということが大前提です。
さいごに:花粉症の舌下免疫療法はシダトレンからシダキュアへ、子供も使える!
というわけで、
花粉症の舌下免疫療法について、シダトレンとシダキュアの違いも含めてお話ししてきました。
シダトレンは販売中止になるので、今後はシダキュアメインになっていきます。
シダキュアは子供にも使えるので、ひどい花粉症の選択肢のひとつになりますね。
■こちらの記事に、いろいろな花粉症対策をまとめているので、お役立てください!
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