こんにちは! 現役ママ薬剤師の安美です。
痔の痛みや出血に人知れず悩むことありませんか?
忙しくて病院を受診する時間がない、面倒くさい、ちょっと恥ずかしい
そういう時に役立つのが、市販の痔の薬です。
痔の市販薬にはいろいろな種類がありますが、CMなどで有名なものにボラギノールがあります。
この記事では、痔の市販薬、ボラギノールについて、解説します。

ボラギノールにも複数の種類があります。
飲み薬もあるって知っていましたか?
詳しくお話ししますね!
痔の市販薬ボラギノールについて詳しく解説!
ボラギノールの種類一覧表
ボラギノールはいぼ痔やきれ痔の痛みやかゆみを和らげる市販薬です。
いくつか種類があるので、
「どれを買えばいいかわからない」
という方もいるかもしれません。
そこで、ボラギノールの種類の違いがわかるように一覧表にしました。
ボラギノールA | ボラギノールB | 内服ボラギノールEP | ||||
軟膏 | 注入軟膏 | 坐剤 | 軟膏 | 坐剤 | ||
ステロイド | あり | あり | あり | なし | なし | なし |
使用回数 | 1日2~3回 | 注入:1日1~2回 塗る:1日2~3回 |
1日1~2回 | 1日2~3回 | 1日1~2回 | 1日2回 |

ボラギノールシリーズは全て、15歳以上を対象とした市販薬です。
ボラギノールAとMの違いはステロイドのありorなし
ボラギノールAシリーズとボラギノールMシリーズの一番の違いは、ステロイド成分の有り無しです。
ボラギノールAシリーズには、ステロイドの強さのランクの中では、1番弱い(Weak)のステロイドが配合されています。

ステロイドは皮膚が薄いほど、体への吸収率が高くなります。
例えば、前腕(内側)の吸収率を1.0とした場合、陰部は42倍の吸収率、
つまり、ステロイドが吸収されやすい場所なので注意が必要です。
ボラギノールA軟膏とボラギノールB軟膏の成分の違いを表にまとめました!
ボラギノールA軟膏 | ボラギノールM軟膏 | |
プレドニゾロン酢酸エステル (ステロイド) |
0.5mg | なし |
リドカイン | 30mg | 30mg |
アラントイン | 10mg | 10mg |
トコフェロール酢酸エステル | 25mg | 25mg |
グリチルレチン酸 | なし | 15mg |
効能(効き目) | いぼ痔・きれ痔(さけ痔)の痛み・出血・はれ・かゆみの緩和 | いぼ痔・きれ痔(さけ痔)の痛み・かゆみの緩和 |
*成分量は1g中あたりの㎎数
・プレドニゾロン酢酸エステル:炎症を抑える(ステロイド成分)
・リドカイン:痛みやかゆみを和らげる
・アラントイン:傷のなおりを助ける
・トコフェロール酢酸エステル:血行をよくして皮膚の回復を促す
・グリチルリチン酸:炎症を和らげる
ボラギノールA軟膏にはステロイド成分が入っているので、効能に痔による出血とはれが追加されています。
また、ボラギノールM軟膏はステロイドなしなので妊娠中でも使うことができると明記されています。

ボラギノールA軟膏など他の製品は、妊娠の経過や症状によるので医師や薬剤師に相談してください。
授乳中は特に問題ありません。
もうひとつ、ボラギノールAとMの違いが、注入軟膏があるかないかです。
「注入軟膏ってなに?」
という方のために詳しくお話ししていきますね!
ボラギノールAシリーズの注入軟膏とは?
ボラギノールAシリーズにある注入軟膏。
↑
こんな風に小さな容器に個包装になった軟膏のことですね。
注入軟膏は、軟膏+坐剤の両方の使い方ができます。
つまり、肛門の内側や奥にできた痔には注入(坐剤を使う感じ)し、肛門の外側の痔には軟膏のように直接塗るというように使い分けをすることができます。と、2通りの使用方法が選べます。
いぼ痔でもきれ痔でも、肛門の中にも外にも、どちらでも使えるためとても便利です。
また、個包装で室温で保管できるので、持ち運びにも便利です。
外出先で急な出血や痛みが出た時にもすぐに使うことができます。
坐剤を使うのは抵抗がある、初めて使う方にも注入軟膏は使いやすいですね。

注入軟膏の使い方には注意点があります。
1:注入する場合は、1回の使用で1個全量を使いきってください。
2:注入せずに塗った場合は、薬剤の量が少なくなっているため余りの注入軟膏を注入には使用しないでください。
ボラギノールの飲み薬、内服ボラギノールEP
ボラギノールといえば、おしりに塗るイメージですが、実は飲み薬もあるんです。
それが、内服ボラギノールEPです。
内服ボラギノールEPの効果(効き目)
次の場合の症状の緩和:痔核(いぼ痔)、きれ痔、痔出血
気になる成分は、
・ボタンピ(牡丹皮)、セイヨウトチノキ種子、シコン(紫根)といった3種類の生薬エキス
・ビタミンE酢酸エステル
です。
痔の原因となる肛門部分の血液循環を改善したり、炎症を和らげる効果が期待できます。
ボラギノールを飲んで体の内側から改善する感じですね。
ボラギノール軟膏や坐剤と併用して一緒に使っても問題ありません。
痔になりやすいという方は、飲み薬も試してみてはどうでしょうか?
ボラギノールとプリザエースの違いは?
痔の市販薬といえば、プリザシリーズ(プリザエース、プリザS)も有名ですね。

プリザエースとプリザSの違いは、プリザSにさらに追加成分を配合したのがプリザエースというイメージです。
プリザエースはステロイドを含む痔の市販薬です。
「どっちがいいだろう?」と迷う方のために、
ステロイド配合のボラギノールA注入軟膏とプリザエース注入軟膏の違いをまとめました。
ボラギノールA注入軟膏 | プリザエース注入軟膏 | |
プレドニゾロン酢酸エステル (ステロイド) |
1mg | なし |
ヒドロコルチゾン酢酸エステル (ステロイド) |
なし | 5mg |
リドカイン | 60mg | 60mg |
アラントイン | 20mg | 20mg |
トコフェロール酢酸エステル | 50mg | 60mg |
塩酸テトラヒドロゾリン | 1mg | |
クロルヘキシジン塩酸塩 |
5mg | |
l-メントール | 10mg |
*成分量は注入軟膏1個(2g)あたりの㎎数
ボラギノールA注入軟膏とプリザエース注入軟膏の違いは、
1:ステロイド成分、量が違うこと
2:プリザエース注入軟膏には塩酸テトラヒドロゾリン、クロルヘキシジン塩酸塩、l-メントールが追加配合されている
この2点です。
ステロイド成分は違いますが、どちらも弱い(weak)強さランクのステロイド。
効き目に大きな違いはありません。
また、プリザエース注入軟膏にはl-メントールが入っているので、注入した時にお尻にスースーする感じがあるかもしれません。
好みがあると思いますが、スーッとする刺激感が嫌な方はボラギノールA注入軟膏を選ぶことをおすすめします。

プリザエース注入軟膏に入っている塩酸テトラヒドロゾリンは血管を収縮さえて出血やはれを抑え、クロルヘキシジン塩酸塩は消毒成分です。
メインの成分はステロイドと考えるので、私だったら成分がシンプルなボラギノールを選びます。
痔の市販薬は他にもオシリアもあります。
ステロイド配合オシリアは痔の炎症に効果的!他の市販薬との違いは?に詳しく書いているのでお読みください。
さいごに:痔の市販薬ボラギノールAとMの違い、プリザエースとの比較を解説!
というわけで、
市販の痔の塗り薬ボラギノールについてお話ししました。
・ボラギノールには軟膏、座薬、注入軟膏、内服薬(飲み薬)など種類がある。
・ボラギノールAとMの違いはステロイドが入っているかいないか。
(ボラギノールM軟膏はステロイドなし)
・プリザエースとはステロイド成分など違いがある
ボラギノールシリーズにはこのような特徴があります。
ドラックストアに買いにいく暇もない
という人には、ネット通販のメール便なら、家に帰ったらポストに届いているので、手間要らずでおすすめです。
初めて痔の薬を使う方は注入軟膏が使いやすいですよ!
なお、ボラギノール(プリザエースも)を10日間ほど使っても、症状が改善しない、悪化する場合は、使うのをやめて必ず受診するようにしてください。