この記事では、トラネキサム酸とカロナールやロキソニンなどの鎮痛剤との飲み合わせについて、解説していきます。
こんにちは!
現役ママ薬剤師の安美です。
風邪や扁桃炎で喉が痛いのって、つらいですよね。
私も、喉が弱いタイプなので、そのツラさがわかります。
そんなつらい喉の腫れに使われる薬に、トランサミン(トラネキサム酸)があります。
カロナールやロキソニンなどの喉の痛みや炎症を抑える鎮痛薬とは違う効き方をする薬です。
「喉の痛みがトラネキサム酸で治らないから、鎮痛薬を一緒に飲んでもいいですか?」
「カロナールとトラネキサム酸を併用しても大丈夫ですか?」
勤務先の薬局でも患者さんに質問されることがよくあります。
それでは、のみ合わせについて、詳しくお話ししていきますね!
喉の痛みに使われるトランサミン(トラネキサム酸)とはどんな薬?
トラネキサム酸は、トランサミンという薬の成分名。
トランサミンのジェネリック医薬品(後発薬)がトラネキサム酸ということになります。
もともとは、出血を止める薬として使われていました。
というのは、
トラネキサム酸は、血液を溶かす物質(プラスミン)のはたらきを抑えるからです。
このプラスミンは、体の炎症にも関わっています。
つまり、トラネキサム酸でプラスミンのはたらきを抑えると、炎症や腫れも抑えられるというわけですね。
トラネキサム酸は、使用歴が長い安全性の高い薬です。
風邪や扁桃腺の喉の痛みや腫れによく使われています。
授乳中でも安心!ぺラックT錠などトラネキサム酸配合の市販の風邪薬でお話ししているように、授乳中でも服用して問題ありません。安心してくださいね。
トラネキサム酸とカロナールやロキソニンとの飲み合わせ、併用可能?
炎症を抑えるはたらきがあるトラネキサム酸。
「カロナール(アセトアミノフェン)やロキソニン(ロキソプロフェン)などの鎮痛薬も同じように炎症を抑える効果があるから、一緒に飲んだらいけない。併用できない。」
そう思う方も少なくないようです。
実は、
カロナールとトラネキサム酸、ロキソニンとトラネキサム酸、どちらも飲み合わせに問題はありません!
というのは、
トラネキサム酸、カロナール、ロキソニン(イブプロフェンやボルタレンなど他のNSAIDSといわれる鎮痛薬も)は、それぞれ痛みや腫れ、炎症を抑えるメカニズムが違うからです。
カロナールやロキソニンの炎症を抑える仕組み、違いについては、ロキソニン(ロキソプロフェン)とカロナールの飲み合わせ、併用可能?で詳しくお話しているので、参考にしてくださいね!
きちんとした正しい用量を飲んだ場合、併用することで効きすぎる(抑え過ぎる)、副作用が出るということはありません。
しかも、カロナールとトラネキサム酸は飲み合わせが悪いどころか、市販の風邪薬では、2つを配合して相乗効果をねらったものもあるんです!
詳しくお話していきますね^^
カロナール(アセトアミノフェン)とトラネキサム酸を含む市販の風邪薬
カロナール(成分名:アセトアミノフェン)とトラネキサム酸の2つの炎症を抑える成分が入った市販の風邪薬は、いくつかあります。
どの風邪薬も、2つ以外にも複数の成分を配合している総合感冒薬です。
ペラックコールドTD錠
・トラネキサム酸:750mg配合
・アセトアミノフェン:450mg配合
他にも、ジフェニルピラリン(鼻水)、ジヒドロコデイン(咳)、カフェイン、エテンザミドなどを含む。
新ルルAゴールドDX
・トラネキサム酸:420mg配合。
・アセトアミノフェン:900mg配合。
【用法用量】
成人(15 歳以上):1日3回、1回3錠
12 歳以上 15 歳未満:1日3回、1回2錠
*12 歳未満は服用しないで下さい。
ベンザブロックS
・トラネキサム酸:420mg配合。
・アセトアミノフェン:900mg配合。
【用法用量】
・15 歳以上:1日3回、1回2錠
・12 歳以上 15 歳未満:1日3回、1回1錠
*12 歳未満は服用しないで下さい。
カロナール(アセトアミノフェン)とトラネキサム酸を含む市販の風邪薬の選び方
3つの市販の風邪薬を比べると、
ペラックゴールドTD錠は、トラネキサム酸は医療用(処方薬)と同じ量だけど、アセトアミノフェン量は少ない。
(その分、エテンザミドという炎症を抑える成分でカバー)
新ルルAゴールドDXとベンザブロックSは、トラネキサム酸は少なめだけど、アセトアミノフェンは市販の頭痛薬と同じくらいの量。
こんな違いがあります。
喉の痛みがメインの場合は、トラネキサム酸が多いペラックゴールドTD錠、
喉だけでなく頭痛もする場合は、アセトアミノフェンが多い新ルルAゴールドDXかベンザブロックS、
私なら、こんな選び方をします。
ただ、3種類とも、眠気が出る成分が含まれる風邪薬です。
車の運転などは注意してくださいね!
イブプロフェンとトラネキサム酸を含む市販の風邪薬
ロキソニンとトラネキサム酸を配合した風邪薬はありませんが、ロキソニンではなくイブプロフェンとトラネキサムを配合した風邪薬はあります。
ルルアタックEX
・トラネキサム酸:750mg配合。
・イブプロフェン:450mg配合。
【用法用量】
・15歳以上:1日3回、1回2錠
*15歳未満は服用しないで下さい。
イブプロフェン量は、医療用と比べて少なめですが、トラネキサム酸は医療用と同じ量が含まれています。切れ味のよい風邪薬だと思います。
眠たくなる成分が含まれているので注意が必要ですが、喉が痛くて、頭痛、鼻水や咳も出るという方には、オススメです。
今回ご紹介した薬は、
喉が痛いけど、病院に行く時間がない、
市販薬で様子をみたい、
そんな方にもお役にたつと思います!
さいごに:トラネキサム酸とカロナール、ロキソニンなど鎮痛剤との飲み合わせは?
カロナールやロキソニンとトラネキサム酸の飲み合わせについて、実際に喉の痛みに使われる市販の風邪薬の例をあげながら、お話してきました。
カロナールとトラネキサム酸、ロキソニンとトラネキサム酸の飲み合わせには問題ありません。
一緒に飲んで大丈夫です。
市販の風邪薬には相乗効果をねらって、カロナールとトラネキサム酸、イブプロフェンとトラネキサム酸をあえて一緒に配合している薬もあります。
市販薬を飲むときは、違いに気をつけてくださいね!