くしゃみや鼻水、鼻づまり…
とくに、花粉症の季節は本当にツライですよね。
仕事や家事、勉強に集中できない日が続くと、薬で何とかしたいという方も多いはず。
そんなときに役立つのが市販の鼻炎薬(花粉症の薬)。
ただ、ドラックストアやネット通販でみても、たくさんの種類があり過ぎて
「どれを選べばいいかわからない」と迷ってしまう方も…。
この記事では、現役の薬剤師が、市販の花粉症の薬についてわかりやすくご紹介します。
効果の違い・眠気の強弱・子どもが使えるか、なども比較していますので、
あなたにぴったりの薬を見つけてくださいね!
どんなときに市販薬が役立つ?
「病院に行くほどではないけれど、つらい花粉症の症状を今すぐ何とかしたい!」
そんなときに頼りになるのが、市販薬です。
とくに、後述する第二世代の抗ヒスタミン薬は、
眠気などのリスクが低く、病院で処方される薬と同じ成分のものが市販薬として販売されています。
✅忙しくて病院に行けない
✅花粉症シーズンは病院が混雑していて待ち時間が億劫、受診する時間がない
✅症状が出始めたので、すぐに薬を始めたい
✅毎年同じ薬の治療で安定しており、とくに医師に相談することがない
こういったケースでは、市販薬がとても役立ちます!
市販の花粉症の薬4種類の特徴を解説!
市販の花粉症に効果的な内服薬には、大きく分けて以下の4タイプがあります。
第二世代抗ヒスタミン成分(非鎮静性)
副作用リスクが低く、花粉症の治療のファーストチョイスとなります。
特徴1:単一成分タイプが多い
市販の第二世代抗ヒスタミン薬は、有効成分が1種類だけの単一成分タイプがメイン。
余計なものが入っていないうえに、しっかり効果も期待できるので、シンプルな単一成分タイプが私は一番おすすめです。
例:
アレグラFX=フェキソフェナジン
クラリチンEX=ロラタジン
アレジオン20=エピナスチン
タリオンAR=ベポタスチン
花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり
アレグラFXの添付文書より引用
特徴2:眠くなりにくい「非鎮静性」タイプ
市販のアレグラFXやクラリチンEX、アレジオン20、タリオンARなどは眠くなりにくい、非鎮静性タイプです。
アレルギー症状の原因となるヒスタミンは、脳では覚醒や集中を司ります。
そのため、抗ヒスタミン薬が脳へ移行して脳内のヒスタミン受容体をブロックすると、眠気がでたり、集中力や判断力が低下してしまいます。
脳内ヒスタミン受容体の点有率が20%未満だと非鎮静性とされ、眠気などの副作用リスクが少ないとされています。
特徴3:飲み方の工夫
効果が出るまでに時間がかかるため、症状が少しでも出始めた時もしくは花粉飛散予測から服用を開始するのが理想です。
花粉症の症状がひどくなってからだと、必要な薬の量が増えて症状を抑えるにも時間がかかるというデメリットがあります。
症状のピーク期間中(花粉症時期)は、安定維持のため、花粉飛散終了まで服用を継続するのがおすすめです。
第一世代抗ヒスタミン成分(鎮静性)
第一世代抗ヒスタミン成分は、第二世代よりも前から使われていた(古い)薬。
眠気が出やすいなどの副作用リスクはありますが、即効性が期待できるというメリットがあります。
特徴1:複数の成分が配合されていることが多い
第一世代の抗ヒスタミン成分は、ジフェンヒドラミンやクロルフェニラミンなどがあります。
レスタミンコーワ糖衣錠はジフェンヒドラミンの単一成分ですが、基本的には、カフェインやビタミン、生薬成分など複数の成分が配合されて薬として市販されていることが多いです。
例:
エスタック鼻炎カプセル
新コンタック600
ストナリニ
アレルギール錠
じん麻疹、湿疹、かぶれ、かゆみ、鼻炎
レスタミンコーワ糖衣錠の添付文書より引用
特徴2:眠気が強い「鎮静性」タイプ
第一世代抗ヒスタミン成分は、脳内ヒスタミン受容体の点有率が20%以上の眠気が出やすい鎮静性タイプです。
また、本人は眠気を感じていなくても無意識のうちに集中力や判断力が低下することもあります。(インペアード パフォーマンス)
なので、このタイプの市販薬を服用中は車の運転など危険作業は控えましょう。
特徴3:緑内障や前立腺肥大症の方は注意
抗コリン作用があるため、口や喉の渇き、異常なまぶしさといった副作用リスクがあり、緑内障や前立腺肥大症の方は注意が必要です。
特徴4:即効性が期待できる
副作用リスクもありますが、アレグラなど第二世代抗ヒスタミン成分よりも即効性が期待できます。症状が急激に出たときやアレグラなどで効果がいまひとつの時などに有効です。
血管収縮剤配合タイプ
鼻粘膜の血管を収縮により血流を減少させて鼻の充血や腫れを軽減する働きがあります。
血管収縮剤として、プソイドエフェドリンやフェニレフリンを配合しています。
例:
アレグラFXプレミアム:フェキソフェナジン+プソイドエフェドリン
ロートアルガード鼻炎内服薬ゴールドZ:プソイドエフェドリン+メキタジンなど
鼻炎薬Aクニヒロ:クロルフェニラミン+プソイドエフェドリンなど
ストナリニS:クロルフェニラミン+フェニレフリンなど
など
特徴1:長期使用はNG
血管収縮剤は、鼻づまりの原因そのものを治すわけではなく対処療法薬。
その効果は一時的なので、効果がなくなるとまた使う、使いすぎて悪化するという悪循環になりやすいです。
多くても、2週間以上の連続服用は避けるようにしましょう。
また、ドーピング対象成分でもあり、スポーツ選手は注意が必要です。
特徴2:プソイドエフェドリン配合の市販薬は購入制限あり
プソイドエフェドリンを含む市販薬の購入には、濫用(らんよう)のおそれのある医薬品として、購入制限(1人1箱まで)があります。
複数個購入する場合は、使用目的や他の店舗での購入状況などを確認されることがあります。
2025年7月現在、フェニレフリンには購入制限はありません。

飲み合わせにも注意すべき薬があります。
詳しくは、アメブロでの解説をお読みください。
漢方薬
アレルギー性鼻炎の治療ガイドラインでは、漢方薬も選択肢の一つとして推奨されています。
代表的な漢方薬を2つご紹介します。
・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
アレルギー性鼻炎のくしゃみや鼻水、軽い鼻づまりに。
とくに、透明でサラサラとした水のような鼻水が出るときに使われます。
体を温めて水分代謝を整えるはたらきがあります。
また、麻黄という覚醒作用のある生薬を含むため、眠気は起きにくく、むしろ集中力が高まる可能性もあります。
・苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)
アレルギー性鼻炎のくしゃみや鼻水に。
胃腸が弱くて麻黄を含む小青竜湯を服用すると胃腸障害がでる人に適しています。
薬剤師おすすめの市販の鼻炎薬の選び方をタイプ別に解説!
花粉症の時期に役立つ市販の鼻炎薬(飲み薬)を使い方別にご紹介します。
眠くなりにくいタイプ
眠気のリスクがほぼないので、車の運転や仕事、試験勉強中にも使いやすいです。
🟡アレグラFX(フェキソフェナジン)
🟡クラリチンEX(ロラタジン)
こちらの2つは添付文書上、眠気に関する注意喚起なく安心して飲むことができます。
🟡漢方薬:小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
とにかく即効性がほしい
即効性が期待できますが、鎮静性(眠くなりやすい)・抗コリン作用(口渇など)があるので注意が必要です。
🟡レスタミンコーワ糖衣錠
ジフェンヒドラミンの単独製剤
🟡抗アレルギー錠「クニヒロ」
クロルフェニラミン+ビタミンB6など
鼻づまりがとにかくひどい
とくに鼻づまりがひどい場合は、プソイドエフェドリン配合の薬の方が効果的です。
🟡アレグラFXプレミアム
プソイドエフェドリン+アレグラの組み合わせ
長期連用には注意
市販薬でも「要指導医薬品」に分類されており、薬剤師が販売時に対面で確認する仕組みになっています。
(アマゾンなどのネット通販は2025年7月現在は不可)
🟡ロートアルガード鼻炎内服薬ゴールドZ
プソイドエフェドリン+メキタジンなどを含む

メキタジンは口渇の副作用が出やすいので注意してください
🟡漢方薬:小青竜湯
透明な止まらない鼻水によく選ばれますが、通年性鼻アレルギーのくしゃみ発作、鼻汁、鼻づまりに効果的だったという報告もあります。
子どもにも使える薬
子ども用の鼻炎薬はいろいろ販売されていますが、副作用リスクを避けるため、できるだけ単一成分のシンプルな薬が薬剤師的におすすめです。
🟡アレグラFXジュニア(フェキソフェナジン)
7~11歳:1回1錠、1日2回朝夕に服用
12~14歳:1回2錠、1日2回朝夕に服用
🟡漢方薬:小青竜湯
大人と用量が異なるので注意が必要
15歳以上:1回1包
7歳~14歳:1回2/3包
4歳~6歳:1回1/2包
4歳未満は服用しないこと
🟡レスタミンコーワ糖衣錠
5~10歳:1回1錠、1日3回朝昼夕に服用
11歳~14歳:1回2錠、1日3回朝昼夕に服用
市販の花粉症の薬でよくあるQ&A
Q1:花粉症の薬、毎日飲んでも大丈夫?
第二世代抗ヒスタミン薬は、花粉飛散終了まで継続使用が推奨されています。
ただし、1週間使っても効果がない場合は、別の原因の可能性もあるため病院を受診するようにしてください。
▶ 注意点
- プソイドエフェドリン配合薬は2週間以上の連用NG
- 第一世代(鎮静性)は1週間以上連続使用を避ける
Q2:市販薬と病院の薬(処方薬)はどう違うの?
アレグラFXやクラリチンEXなど花粉症に使われる第二世代抗ヒスタミン薬は、市販薬でも病院の薬と同じ成分・同じ量が使われており、効果の差はほとんどありません。
一方で、市販薬では手に入らない処方薬もあります。
たとえば、同じ第二世代抗ヒスタミン薬でもビラノア、デザレックス、ルパフィンなどは処方薬のみでの取り扱いです。
また、モンテルカスト(ロイコトリエン受容体拮抗薬)のように、鼻づまりや気管支症状に効果がある薬も処方薬に限られます。
症状が強いときや、鼻だけでなく目のかゆみや皮膚症状もある場合は、市販薬だけで対処しようとせず、早めに医師に相談することをおすすめします。
市販で買える花粉症の薬(鼻炎薬)まとめ
花粉症に使える市販の鼻炎薬は、ラインナップが充実しています。
自分の花粉症の症状やライフスタイルに合わせて選ぶのが大切です。
眠たくなるのが不安な方にはアレグラFXやクラリチンEXがおすすめです。
「どれが自分に合うのか迷ってしまう」というときは、ぜひ薬剤師にご相談くださいね。
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