こんにちは! 現役ママ薬剤師の安美です。
デリケートゾーン(陰部)のかゆみは、男女問わずなかなか相談しにくいもの。
病院に行きにくい、まずはセルフケアで様子をみたい
そういう時に役立つのが、市販の塗り薬です。
この記事では、デリケートゾーンのかゆみやかぶれの市販薬、デリケアエムズ(デリケアM’s)について、解説します。

デリケートゾーンのかゆみによく使われるフェミニーナ軟膏やデリケアbとの違いについてもお話ししますね!
デリケアエムズはノンステロイドのかゆみ止め塗り薬
デリケアエムズ(デリケアM’s)はクリームタイプの塗り薬です。
【デリケアエムズの効能・効果】
かゆみ、かぶれ、ただれ、しっしん、皮ふ炎、じんましん、あせも、虫さされ、しもやけ
ステロイドは配合されておらず、以下の有効成分が入っています。
・ジフェンヒドラミン塩酸塩:かゆみを抑える
・グリチルレチン酸:炎症を鎮める
・イソプロピルメチルフェノール:殺菌作用(かきむしりによる化膿を防ぐ)
・l-メントール:消炎作用(かゆみを緩和する)
・トコフェロール酢酸エステル:血行をよくして皮膚の回復を促す
デリケアエムズのメイン成分は、かゆみを抑えるジフェンヒドラミン塩酸塩。
新レスタミンコーワ軟膏と同じ成分です。
湿疹やかゆみの原因となるヒスタミンの働きを抑える効果があります。
湿疹は掻くとさらに悪化することが多いので、そうならないように、今ツライかゆみを抑えることを一番の目的としている塗り薬です。
デリケアエムズをデリケートゾーンに使う場合は、小学生の子どもから使うことができます。
成分的にも副作用がほとんどないので
「かゆいけど、病院には行きたくない」
男の子がそう言って困ったときに、とりあえずデリケアエムズを塗って様子をみてもよいと思います。
かゆみがひどい時は1日5~6回を目安にこまめに塗ってもかまいません。
開封後の使用期限は半年以内を目安にしましょう。
デリケアエムズは女性も使える!デリケアbとの違い
デリケアエムズを販売している池田模範堂からは、「デリケアb」という塗り薬も市販されています。
デリケアエムズとデリケアbの違いを表にまとめました。
成分 | デリケアエムズ | デリケアb |
ジフェンヒドラミン塩酸塩 | 2.0g | 1.0g |
グリチルレチン酸 | 0.2g | 0.5g |
イソプロピルメチルフェノール | 0.1g | 1.5g |
トコフェロール酢酸エステル | 0.5g | 0.5g |
l-メントール | 0.5g | なし |
デリケアエムズもデリケアbも、ステロイド成分は含みません(非ステロイド)。

パッケージ的には、デリケアエムズ=男性用、デリケアb=女性用というイメージがありますが、成分的にも違いがあるんですよ!
もちろん、デリケアエムズを女性が使っても問題ありません。
大きな違いは、
・かゆみ止め成分のジフェンヒドラミン塩酸塩の量はデリケアエムズが多い
・l-メントールが入っているのはデリケアエムズだけ
です。
デリケアエムズのジフェンヒドラミン塩酸塩の量は、新レスタミンコーワ軟膏と同じ量です。
さらに、l-メントールは、塗ったときのスッとする清涼感とおだやかな消炎作用があります。
なので、かゆみがつらい場合は、デリケアbよりもデリケアエムズを選んだ方が、効果が期待できます。
逆に、デリケアbを選んだ方がよい場合は、
・メントールのスースーとする感じが好きじゃない、刺激感を感じる
・かゆみだけでなく、かぶれやムレがある
(デリケアbの方が、雑菌の繁殖を抑えるイソプロピルメチルフェノールの量が多い)
と考えられます。
デリケアエムズとフェミニーナ軟膏との違いは?
陰部やデリケートゾーンのかゆみといえば、フェミニーナ軟膏も有名です。
実は、フェミニーナ軟膏のかゆみに効く成分も、デリケアエムズと同じジフェンヒドラミン塩酸塩です。
そこで、デリケアエムズとデリケアb、フェミニーナ軟膏の3種の市販の塗り薬の違いを比較してみました。
成分 | デリケアエムズ | デリケアb | フェミニーナ軟膏 |
ジフェンヒドラミン塩酸塩 | 2.0g | 1.0g | 2.0g |
グリチルレチン酸 | 0.2g | 0.5g | なし |
イソプロピルメチルフェノール | 0.1g | 1.5g | 0.1g |
トコフェロール酢酸エステル | 0.5g | 0.5g | 0.3g |
l-メントール | 0.5g | なし | なし |
リドカイン | なし | なし | 2.0g |
*フェミニーナ軟膏も他と同じくステロイド成分は入っていません(非ステロイド)。
フェミニーナ軟膏はリドカインが入っているのが特徴的です。
リドカインは、局所麻酔剤としても使われる成分で、かゆみを感じる神経のはたらきを弱めることでかゆみを止めます。
さらに、かゆみを抑えるジフェンヒドラミン塩酸塩はデリケアエムズと同じ量が入っています。
スースーするのはイヤだけど、しっかりかゆみは抑えたいという場合は、フェミニーナ軟膏がおすすめです。
市販のデリケートゾーンの塗り薬を使う場合の注意点
自己判断でステロイドの塗り薬を使わない
デリケートゾーンは、汗やムレ、下着との摩擦、雑菌の繁殖(生理ナプキンなど)など、外部からの刺激にも反応しやすい部位です。
また、皮膚の乾燥でかゆくなることもあります。
(いわゆる、皮膚掻痒症。湿疹はでないけど痒い。)
男性の場合、陰嚢湿疹(いんのうしっしん)もあります。
皮膚科や泌尿器科を受診すると、症状に合わせてステロイドの塗り薬が処方されることが多いです。
ただし、陰部の皮膚はステロイドが吸収されやすい場所なので、どの強さのステロイドを使えばいいのか、判断が難しいところです。
(市販薬のデリケートゾーン用の塗り薬にステロイド成分が入っていない理由のひとつ)
かゆいからといって自己判断でステロイドの塗り薬をデリケートゾーンに使うのはやめましょう。
デリケアエムズはいんきんたむしやカンジタには効果がない
男性の股間のあたりのかゆみがひどい場合は、いんきんたむしの可能性もあります。
女性のデリケートゾーンのかゆみは、カンジタの可能性もあります。
いんきんたむしやカンジタの場合は、デリケアエムズなどの市販薬は効果がありません。
というのは、いんきんたむしは白癬菌というカビ(水虫の原因と同じ真菌)、カンジタはカンジタ菌が原因で生じるからです。
原因となる菌をやっつけないことには効きません。
いんきんたむしやカンジタが疑われる場合、デリケアエムズなどを1週間ほど使っても効かない場合は、必ず受診するようにしましょう。

いんきんたむしの市販薬(水虫の市販薬と同じ)については、水虫によく効く市販薬は?薬剤師が選ぶおすすめ3選と使用上の注意点
カンジタの市販薬については、男女使えるカンジダ市販薬の塗り薬はある?薬剤師が教える注意点
こちらでそれぞれ詳しく解説しています。ぜひお読みください!
デリケアエムズはどこに売っている?
デリケアエムズは薬局やドラックストアで売っています。
また、Amazonなどのネット通販でも買うことができます。
なお、デリケアエムズはセルフメディケーション税制の対象にはなりません。

セルフメディケーション税制については、医療費控除のセルフメディケーション税制で確定申告できるかも!の記事を参考にしてくださいね!
さいごに:デリケアエムズとフェミニーナの違いとは?市販の塗り薬の選び方
デリケートゾーンのかゆみやかぶれの市販薬、デリケアエムズ(デリケアM’s)についてお話ししてきました。
・デリケアエムズはステロイドを含まないかゆみ止めの塗り薬。
・メントールが入っているので清涼感や刺激感を感じることもある。
・いんきんたむしやカンジタには効果がない
デリケアエムズにはこのような特徴があります。
さらに、デリケアbやフェミニーナ軟膏と比べると、
・デリケアbはデリケアエムズよりも穏やかな効き目。
・フェミニーナ軟膏はデリケアエムズと同程度もしくはそれ以上のかゆみ止め効果が期待できる。
というような違いがあります。

痔の炎症に使われる市販薬のオシリアとフェミニーナ軟膏、デリケアの違いについては、こちらの記事を参考にしてくださいね!