この記事では、市販の強心剤である六神丸と救心の違いについて、薬剤師が解説しています。
六神丸と救心の違いを明確にして、市販の強心薬を選ぶサポートをします。
強心剤というと、強い薬というイメージがあるかもしれませんが、六神丸も救心も自然の生薬からなる医薬品です。この記事で理解が深まるとうれしいです!
六神丸と救心の基本情報
六神丸の歴史と特徴
六神丸は、日本の伝統的な強心薬として長い歴史を持ちます。
六神丸の起源は、古くからの和漢医学に基づいており、その名前は「六つの神秘的な力を持つ丸薬」という意味を持っています。
六神丸の名前の由来は、古代中国の医学書に記されている「六神」という概念から来ています。
これは、人間の体内に存在するとされる六つの重要な器官や機能を指し、これらのバランスを整えることが健康維持の鍵とされていました。
六神丸は、これらの六つの神(器官や機能)に作用し、とくに心臓の機能をサポートすることを目的として作られたといわれています。
六神丸は富士薬品などいろいろなメーカーで製造販売されています。
救心製薬株式会社からも六神丸は販売されています。
救心の歴史と特徴
救心は、日本の伝統的な強心薬として知られています。
その歴史は、大正時代に始まります。
救心は、当初「ホリ六神丸」として販売され、その後、心臓に効果的な薬としての評判を得て「救心」と改名されました。
この名前は、「心臓を救う」という意味を込めて付けられたものです。
救心は救心製薬株式会社より販売されています。
六神丸と救心の違い:成分比較一覧表
六神丸と救心は配合成分に違いがあります。
今回は、救心製薬株式会社から販売されている「虔脩ホリ六神丸R」と「救心(丸剤)」を比較しました。
虔脩ホリ六神丸の成分・分量
1日量6粒中に以下の成分を含みます。
・センソ(5㎎)
強心作用。
交感神経の興奮を鎮めて呼吸機能を高める。
・ゴオウ(牛黄、3㎎)
強壮作用、末梢循環を拡張して血圧を下げる。
・ロクジョウ(鹿茸末、5㎎)
血行を促進し、強壮作用により気力を高める。
・人参(23㎎)
強壮作用により気力を高める。
・真珠(ちんじゅ(珍珠)7.5㎎)
精神安定作用。
・龍脳(2.7㎎)
呼吸機能を高めたり、意識の減退を回復させる。
・動物胆(ブタの胆汁を乾燥させたもの、6㎎)
平滑筋の異常な緊張をしずめ、消化器の働きをよくする。
*養命製薬株式会社などからは、強壮作用をもつジャコウを配合した伝統的な処方の六神丸も販売されています。
救心の成分
1日量6粒中に以下の成分を含みます。
・センソ(5㎎)
強心作用。
交感神経の興奮を鎮めて呼吸機能を高める。
・レイヨウカク(羚羊角末、6㎎)
神経の緊張や脳疲労を和らげる。
・沈香(3㎎)
体内を温めて痛みや吐き気を和らげる。
・ゴオウ(牛黄、4㎎)
・ロクジョウ(鹿茸末、5㎎)
・人参(25㎎)
・真珠(7.5㎎)
・龍脳(2.7㎎)
・動物胆(8㎎)
*なお、求心カプセルFは、レイヨウカクと沈香がなく、そのかわりに血流をよくするサフラン( 4.5mg)が配合されています。
六神丸と救心の成分の違い一覧表
成分 | 六神丸 | 救心 |
センソ | 5㎎ | 5㎎ |
ゴオウ | 3㎎ | 4㎎ |
ロクジョウ | 5㎎ | 5㎎ |
人参 | 23㎎ | 25㎎ |
真珠 | 7.5㎎ | 7.5㎎ |
龍脳 | 2.7㎎ | 2.7㎎ |
動物胆 | 6㎎ | 8㎎ |
レイヨウカク | 6㎎ | |
沈香 | 3㎎ |
救心は、六神丸を少しパワーアップしたような処方というイメージですね。
六神丸と救心は、効果・効能に違いはある?
六神丸と救心は、成分に違いはありますが、添付文書上の効能・効果は同じです。
効能効果は、どうき、息切れ、気つけとなっています。
言葉の説明をしますね!
・どうき=動悸
心臓の働きが低下して十分な血液を送り出せなくなり、脈拍数を増やすことによってその不足を補おうとして、拍動がはやくなったり、脈拍が乱れる。
・息切れ
心臓から十分な血液が送り出されず酸素の供給が低下し、その不足を補うために空気を吸おうとして苦しくなる。
・気つけ
心臓の働きの低下による一時的なめまい、立ちくらみ等の症状に対して、意識をはっきりさせたり、活力を回復させる効果のこと
また、15歳未満は服用しないこととなっています。
六神丸と救心は副作用に違いがある?飲み合わせの悪い薬は?
六神丸も救心も、ともに天然の生薬を主成分としており、副作用は一般的に軽度ですが、成分に対するアレルギー反応や体質には注意が必要です。
服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので直ちに服用を中止してください。
六神丸の副作用リスク
[関係部位:症状]
消化器:吐き気・嘔吐
救心の副作用リスク
[関係部位:症状]
皮膚:発疹・発赤,かゆみ
消化器:吐き気・嘔吐
六神丸と救心は併用できない!
六神丸も救心も、添付文書上で、「本剤を服用している間は,次の医薬品を服用しないこと:他の強心薬」と記載されています。
なので、六神丸と救心は併用不可ということになります。
使用上の注意としては、薬をのむ時に、噛んだり、口の中にしばらく置くようにせずに、すぐにのみこんでください。(成分の性質上、舌や口の中にしびれ感が残ることがあるそうです)
市販の強心薬の選び方
救心を選ぶメリット:いろいろな製剤がある
救心を選ぶメリットは、ニーズに合わせていろいろな製剤がある点です。
救心の製剤の種類
救心には、以下のような製剤形態があります。
- 救心カプセルF:小さくて飲みやすいカプセル形状。
1回1カプセルの服用。 - 救心錠剤:従来の丸剤に比べて、より服用しやすい形状。
1回1錠の服用。 - 救心丸剤:伝統的な丸剤形態。1回2粒の服用。
崩壊性にすぐれており、薬効成分がすみやかに吸収されるよう工夫されています。
どの救心製剤をのむ?救心の選び方
どの救心にするかは、以下の点を考えて選ぶとよいでしょう。
- 使用シーン:外出時や緊急時にはカプセルや錠剤が便利。
- 味や匂いの感受性:生薬の独特な味や匂いが気になる方は錠剤やカプセルだとOK。
- 即効性:即効性を重視する場合は丸剤がより適しているとされています。
六神丸と救心、どちらを選ぶべき?
個人的には、救心製薬の六神丸と救心は、どちらを選んでもよい気がします。
救心の方が生薬数が多く、ゴオウの量も多いのでアレルギーなどなければ、救心の方がいいかなと考える程度です。
ただ、女性の方で、冷えや月経に関連する不調(生理痛やPMSなど)がある方には、血行改善効果があるサフランを唯一含む(六神丸+サフランという処方)救心カプセルFがおすすめです。
サフランは、女性ホルモンを整える・血行をよくして体を温める・精神を安定させるという効果が期待されて、漢方薬としても使われているんです!
あと、少し、ふれましたが、六神丸には、ジャコウ(麝香)という強壮作用が入った六神丸を販売しているメーカーもあります。
↑
こちらは、養命製薬の六神丸(ジャコウ入り)
もし、救心などで効果がイマイチと感じた場合は、そちらを試してみるのも選択肢のひとつだと思います。
さいごに:六神丸と救心の違いを徹底比較!薬剤師が教える市販の強心薬の選び方
この記事では、市販の強心薬として有名な六神丸と救心の特徴や効果、副作用などについて詳しく解説しました。
六神丸は、心臓の全般的な機能をサポートし、血液循環を改善する効果があります。
なお、救心は様々な製剤形態があり、使用シーンや個人の好みに合わせて選ぶことができます。
この記事を通じて、六神丸と救心の違いを理解し、市販の強心薬を選ぶために参考にしていただければ幸いです。
必要に応じて医師や薬剤師に相談することも忘れないでくださいね!