母乳育児の大切さは言うまでもありませんが、
- 母乳の分泌が多すぎる
- 持病などの治療で母乳に移行する薬の服薬が必要
という理由で断乳する場合もあります。
このような状況で母乳を止めるための薬が使われます。
この記事では、母乳を止める薬の種類やその働き、副作用について詳しく解説し、お母さんが知っておきたい情報を提供します。
薬に抵抗があるお母さんのために、母乳分泌を抑制するハーブティーについてもご紹介しますね!
母乳を止める薬とは?
母乳を止める薬が効く仕組み
母乳がつくられるためには、プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)というホルモンが必要です。
授乳するときに赤ちゃんが吸うことが刺激となって、プロラクチンの濃度が上がり母乳が出るという仕組みだからです。
このプロラクチンは、ドパミンというホルモンによって分泌が抑制されます。
つまり、ドパミンの分泌を促進する薬=母乳をつくるプロラクチンの分泌を抑える薬
というわけです。
プロラクチンの分泌が抑えられると、母乳の分泌量は減り、母乳が止まります。
母乳を止める薬の種類
ドパミンの分泌を促進して母乳を止める薬としては、以下の4つがあります。
- カバサール
- プロモクリプチン
- パーロデル
- テルグリド
よく使われるのは、カバサールとパーロデルという印象です。
カバサール(カベルゴリン)の基本情報
カバサールはドパミン作動薬(ドパミン受容体を刺激して、ドパミンの働きを強める)です。
母乳を止める場合、4錠(主成分として1.0mg)を1回だけ食後に服用します。
パーロデル(ブロモクリプチンメシル酸塩錠)の基本情報
パーロデルもカバサールと同じく、ドパミン作動薬です。
乳汁分泌の防止には、1錠(主成分として2.5mg)を1日2回1錠ずつ (1日量5㎎)で 14 日間服用します*。
*参考文献:日産婦誌41巻5号、乳汁分泌の抑制と促進
パローデルの方がカバサールよりも昔からある古い薬です。
母乳を止める薬の副作用
カバサールやパローデルといったドパミン作動薬の副作用としては、気持ちが悪くなる、吐き気があります。
他に、便秘やめまい、ふらつきなども報告されています。
また、心臓弁膜に病変がある人や産褥期高血圧の人は禁忌(絶対に服用してはいけない)です。
呼吸や脈拍、血圧などが安定していることをしっかり確認してください。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.1 麦角製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 心エコー検査により、心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う狭窄等の心臓弁膜の病変が確認された患者及びその既往のある患者[症状を悪化させるおそれがある。][8.3 参照],[8.4 参照]
2.3 妊娠中毒症の患者[産褥期に痙攣、脳血管障害、心臓発作、高血圧が発現するおそれがある。]
2.4 産褥期高血圧の患者[産褥期に痙攣、脳血管障害、心臓発作、高血圧が発現するおそれがある。]
カバサール添付文書より引用
母乳を止める薬は市販されている?
カバサール、パーロデル、プロモクリプチン、テルグリドの全てが医療用医薬品で、処方せんが必要です。
市販薬としては販売されていません。
母乳を止める薬をのむことのメリット・デメリット
出産後のお母さんが母乳を止める薬をのむ場合は、そのメリットがあるからですよね。
以下の2つのメリットがあげられます。
メリット1:母乳過多の悩みが解消
私自身、母乳育児がなかなか軌道に乗らずに苦しんだ経験があります。
なので、「母乳の出がよすぎる」というのは羨ましい限りです。
ただ、母乳分泌過多症(赤ちゃんが飲む母乳の量に対して分泌される母乳量が多すぎる)には、
・胸がはって痛くてつらい
・詰まりやすくなる
・乳腺炎になりやすい
など、その人にしか分からないつらさがあるという話もよく聞きました。
また、高熱が出るような乳腺炎を繰り返してしまうとお母さんの体へのダメージも大きくなります。
そういう場合に、医師と相談して母乳を止める薬が処方されることもあります。
メリット2:必要な治療を継続できる
薬のなかには、母乳への移行性やあかちゃんに影響があることが明確になっているため、授乳中はのめないものもあります。
持病などでその薬をのまないといけない場合は、母乳を止める薬を服用することで、赤ちゃんとの生活と必要な治療を継続を両立することができます。
デメリット:授乳できないつらさ、切なさ
メリットがあるから選んだことでも、やはり実際に授乳ができないという切なさを感じると思います。
ただ、授乳だけが育児ではないわけで、
抱っこしたり、なでたり、遊んだり、スキンシップをとって赤ちゃんとの生活を楽しみましょう!
母乳を止める薬をのんだ後に授乳をしても大丈夫?
「カバサールやパローデルといった薬を服用中に授乳してしまった!」
赤ちゃんに影響がないか、お母さんも不安になりますよね。
カバサールは母乳中に移行しないことが明らかとなっているので問題ありません。
カバサールはヒトでは確認されていませんが、動物実験レベルで乳汁中への移行が認められています。
ただ、添付文書の記載は、授乳禁止という書き方ではないので、継続して授乳するのでなければ問題ないのではないかと私は考えます。
授乳婦への投与に際しては、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行の有無は不明であるが、ラットではカベルゴリン及び代謝物が乳汁中へ移行することが認められている。
カバサール添付文書より引用
ただ、赤ちゃんが吸う刺激でプロラクチンが分泌されると、母乳が出るというサイクルになるので、断乳を考えた場合は、授乳ももちろんしないようにしましょう。
母乳が出過ぎる悩みには、ハーブティーという選択肢も!
母乳を止める薬には抵抗があるという方は、母乳量を少なくするはたらきが期待できるハーブティーを試してみませんか?
昔から、ペパーミントやセージといったハーブには母乳分泌を抑えるはたらきがあるとされています。
■AMOMA ミルクセーブブレンド
赤ちゃんにも授乳しているママにも優しい、農薬を使わないハーブを原料とした国内製造のハーブティーです。
ティーパックで気軽にのめるのもうれしいですね!
ペパーミントやセージのほかに、エルダーフラワー、レモンバーム、クリーバーズがブレンドされています。
■ミルクセーブブレンドハーブティーの飲み方
1つのティーバッグに対して約200ml ~ 500ml(98℃)のお湯をそそぎ、3~4分待ちます。
できるだけ、常温以下に冷やして飲んでください。
夜に母乳はつくられ溜まりやすいので、寝る前にのむのがおすすめです。
温かいホットで飲むと、血行がよくなり母乳が出やすくなるので、冷やしてのむのがポイントです!
さいごに:母乳を止める薬の効果と副作用、断乳に迷うママが知っておきたいこと
この記事では、母乳を止める薬の効果と副作用について詳しく解説しました。
母乳分泌を抑制する薬は、母乳が多すぎて悩むお母さんや、特定の治療を必要とするために断乳を選択しなければならないお母さんにとって有効な選択肢です。
ですが、副作用を伴うこともあり、必ず医師の指導のもとでおこないましょう。
治療の服薬のために母乳を止めるというわけではないのであれば、出過ぎる母乳を抑えるハーブティーの活用もおすすめです。