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質問「ピルを服用中、コロナワクチン接種日が生理と重なり不安です」

薬の飲み合わせ
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こんにちは。
現役薬剤師の安美です。

コロナワクチンの接種がすすむ中、勤務先の薬局でもワクチン接種後の薬の服用などの質問が増えています。

「子宮内膜症でピルを服用中です。しかも、2回目のコロナワクチン接種が生理日と重なるので不安です。何か気をつけることってありますか?」
先日、患者さんから質問がありました。

そこで今回は、コロナワクチンとピル、生理についてお話しします。

 

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現時点では、新型コロナのワクチン接種前後に低用量ピルの内服を中止する必要はない

ピルを服用している患者さんが不安に思ったのは、

・ピル(低用量ピル)の副作用に血栓が起きやすいという報告がある

・コロナワクチン接種後に血栓が起きたという報告がある

この2点がリンクしたためだと考えられます。

(新型コロナウィルス感染症の症状にも血栓がありますし)

薬剤師:安美
薬剤師:安美

血栓症は血管内に血の塊ができる病気です。
血栓ができる場所によって、肺塞栓症、脳梗塞、心筋梗塞に至ります。

 

 

詳しく解説していきますね。

 

低用量ピルとは?血栓との関係

低用量ピルの種類

低用量ピルとは、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の2種類の女性ホルモンを合わせてできた錠剤です。

経口避妊薬という言葉から避妊を連想するかもしれませんが、それだけでなく、子宮内膜症や生理痛や月経前症候群(PMS)にも使われます。

アンジュ、トリキュラー 、ファボワール 、マーベロン、ラベルフィーユ
ルナベルULD*、フリウェルULD*、ヤーズフレックス*
*超低用量ピル

 

薬剤師:安美
薬剤師:安美

エストロゲンが50㎍より少ないものを低用量ピル、30㎍より少ないものを超低用量ピルと言います。

 

低用量ピルの服用と血栓症

低用量ピルを内服している場合には血栓症が起きやすいという報告があります。

2014年1月には、「月経困難症治療剤ヤーズ®配合錠による血栓症について」という安全性速報が出されました。

日本産科婦人科学会によれば,海外の疫学調査では低用量ピル服用者の静脈血栓症発症のリスクは,年間1万人当たり3〜9人(服用していない人は1〜5人),妊娠中では同5〜20人,分娩後12週間では同40〜65人と報告されている

週刊日本医事新報 4690号 低用量ピルによる血栓症リスクより引用

このように発症率としては低いものの、低用量ピルを内服している場合の血栓症の発症は否定できません。

ただ、ピルの服用を開始して数カ月以内に発症することが多く、血液検査や特徴的な症状を問診するなどで早期発見、治療するようになっています。

 

ピル服用中のコロナワクチン接種

現在問題なく低用量ピルを服用している方は、コロナワクチン接種にあたり中止する必要はないと考えます。

低用量ピル服用患者において、新型コロナワクチン接種による血栓症発症のリスク上昇の報告はありません。

3. 新型コロナ感染症とピルについて:新型コロナウイルスに感染した場合、血栓症のリスクが増加することが報告されています。新版では、新型コロナウイルス感染症の軽症時には低用量ピル以外の避妊方法を検討する(例:コンドーム、子宮内避妊具など)、呼吸症状の出現や重症時にはピル内服を中止し抗凝固療法(低分子ヘパリン投与)などを検討することを提案しています。一方で、新型コロナのワクチン接種のために、ピル内服を中止するような推奨・指針は出ていません。現時点では、新型コロナのワクチン接種前後に低用量ピルの内服を中止する必要はないと考えられます。

【識者の眼】「低用量ピルと新型コロナウイルス感染症・ワクチン」柴田綾子より引用

「それでも不安…」という方は、ピルの処方医に相談してみてもいいですね。

あと、血栓予防のために

・水分補給を心がける
・同じ姿勢で長時間過ごさない
・軽い運動をする(手足を動かすだけでもよい)

などを気をつけることをおすすめします。

 

また、厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aには以下のような質問が掲載されています。

Q:ワクチン接種後に血栓症が起きると聞いたのですが大丈夫でしょうか。

A:アストラゼネカ社のワクチンでは、稀に珍しいタイプの血栓症が起きるという報告がありますが、適切な診断・治療方法も報告されています。なお、ファイザー社や武田/モデルナ社のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンでは、現時点では、同様の血栓症と関連性があると評価された事例は確認されていません。

厚生労働省 新型コロナワクチンQ&Aより引用

日本では現在、アレルギーや制限がない方はファイザーかモデルナのコロナワクチン接種なので、血栓について問題ないのではという見解です。

 

また、間違えやすいのですが、
ワーファリンなどの抗凝固薬(血液サラサラの薬)を服用中の方は、ワクチン接種後に2分以上接種部位をしっかり押さえてください
という注意書きがあります。

それは血栓とは関係なく、薬の作用で出血が止まらなくなることを避けるためです。

薬を中止する必要もありません。

 

なお、偏頭痛薬とコロナワクチン接種については、偏頭痛持ちですがコロナワクチン接種前後に薬を飲んでも大丈夫?にて詳しく解説していますので参考にしてくださいね。

 

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生理中のコロナワクチン接種は問題ないか?

生理中のコロナワクチンの接種も問題ないと考えられています。

ただ、生理痛がひどい方はワクチンの副反応と重なるとつらいかもしれないので、考慮してスケジュールを決めるといいかもしれません。

 

Q:ワクチン接種により不正性器出血(不正出血)や月経不順が起こるのは本当ですか。

A:mRNAワクチンが直接的に不正性器出血(不正出血)や月経不順を起こすことはありません。

不正性器出血(不正出血)とは、ホルモンの異常や様々な病気により、月経(生理)とは別に、性器から出血することです。また、月経不順とは、月経の時期がずれることです。

女性の月経周期は、様々な環境ストレスや生活の変化からの影響を受けます。mRNAワクチンが生殖器に直接作用して、不正性器出血をおこしたり、月経不順を起こすことはありません。月経周期は様々な要因に影響を受けるので、副反応による発熱や体のだるさなどのストレスで月経周期が乱れたり、不正性器出血が起こる可能性は考えられます。なお、米国産婦人科学会は月経周期によって接種のタイミングを変更する必要はないとしています。

不正性器出血や過多月経(経血量が多いこと)は、子宮筋腫、子宮がんなどの病気が原因のことがあります。必要に応じ、産婦人科を受診し相談しましょう。

厚生労働省 新型コロナワクチンQ&Aより引用

 

ちなみに、血栓を心配していた患者さんは、とくに大きな副反応もなく1回目と2回目のコロナワクチン接種を終えました!

 

私も2回目のワクチン接種が生理2日目と重なったのですが、とくに出血(経血)量が増えたり、生理痛が悪化したりすることはありませんでした。
生理も長引くことなくいつものように終わりました。

 

薬剤師:安美
薬剤師:安美
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さいごに:質問「ピルを服用中、コロナワクチン接種日が生理と重なり不安です」

というわけで、この記事ではピルの服用や生理とコロナワクチン接種についてお話ししてきました。

・コロナワクチン接種のためにピルの服用をやめる必要はない

・生理中のコロナワクチン接種は問題ない

現段階では問題ないとされています。

そういわれても、やはり不安という方は、ピルの処方医やワクチン接種時の問診で相談することをおすすめします。